昨年4月から高校野球などスポーツ取材を担当している。多くの高校生選手と触れ合う中で、たくさんのお辞儀を見たのが印象的だ。

 球場でも学校でも、すれ違う一人一人に立ち止まり、きちんと頭を下げる能代商野球部。夏の甲子園で3回戦進出した活躍ぶりは県民を勇気づけた。同10月の高校駅伝県大会では開会式後、ほとんどすべてのチームが居並ぶ大会関係者に「○×高校です。よろしくお願いします!」と深々と一礼した。秋田中央ラグビー部は今回の全国大会の期間中、宿舎近くの学校のグラウンドを借りて練習した後、グラウンドに向かってそろって一礼した。

 学生スポーツというと、若さのありあまるやんちゃ盛りの子たちが、熱血監督の指導を受けながら成長していくイメージがあったので、秋田の高校生たちの礼儀正しさには、正直なところ驚いた。私も馬術を続けてきたが、我が身を振り返ると恥ずかしい限りだ。

 高校では全国大会に出場するレベルの選手でも、卒業後は競技から離れる生徒も多い。しかし、卒業まで取り組んできた部活動の成果が発揮されるのは、競技の中だけではないと思う。大切なのは自分たちを支えてくれた人々への感謝を忘れないことだ。彼らは大人になってからも、お辞儀するたびにその気持ちを思い出すことだろう。厳しい部活に取り組んだ経験は、どんな分野に進んでも生かされると思う。

毎日新聞 2012年1月8日 地方版