「甲子園の近道」と三重に進んだ選手たちだが、あと一歩のところまで迫りながら、出場を逃してきた。ナインは悔しさをバネに、能力を開花させた。
昨年7月の第93回全国高校野球選手権大会三重大会。優勝した伊勢工と準々決勝で対戦した三重は、2年生6人が出場した。大会屈指の好投手を前に、先行を許す苦しい展開ながら、土壇場の九回に追い付いたが、サヨナラ負けを喫した。
当時からエース番号を背負っていた三浦浩太郎投手(2年)は人一倍、屈辱を味わった。外野に運ばれたサヨナラ打を確認し、マウンド上でがっくりと頭を垂れ、人目をはばからず号泣した。「緊迫した雰囲気に負け、重圧に押しつぶされた。冷静な投球ができなかった」。2年生たちは雪辱を誓った。この時の涙が、選手たちを大きく成長させることになる。
3カ月後の秋季東海地区高校野球大会。戦力の低下が指摘される中、三重は輝きを放った。勝負強い打線に加え、接戦を勝利に結び付けられる高い守備能力を特に身につけていた。
守備面で最も大きく貢献したのが、三浦投手だ。同大会3試合を完投し、準決勝の市岐阜商(岐阜)戦では完封勝利を挙げた。曲がりが大きく、狙って三振を奪えるスライダーと、直球のコンビネーションが威力を発揮し、夏の県大会でもバッテリーを組んだ小林大輝捕手(同)との呼吸も抜群だった。
何より、マウンド度胸が据わっていた。ピンチにも動じず、大崩れはしない。「精神面の成長が一番大きかったと思う」。けん制で走者をくぎ付けにするなど、落ち着いたマウンドさばきを披露した。
10年の前回大会、静清(静岡)との準決勝で、延長十回に四死球で走者をため、サヨナラ負けした教訓も生かした。今大会は、先頭打者に四球を与えたのは2度だけだ。「力不足で負けてきて、悔しかった。絶対にやってやろうと思っていた。甲子園に行くために、ここに来たんです」。絶対的エースは言葉に力を込める。
何度も倒され、その度に、泥にまみれながら立ち上がった。挫折を糧に、センバツ出場を勝ち取った三重。紫紺の大旗を目指すこの春、ナインたちは、大輪の花を咲かせる。
〔三重版〕
毎日新聞 2012年1月31日 地方版
昨年7月の第93回全国高校野球選手権大会三重大会。優勝した伊勢工と準々決勝で対戦した三重は、2年生6人が出場した。大会屈指の好投手を前に、先行を許す苦しい展開ながら、土壇場の九回に追い付いたが、サヨナラ負けを喫した。
当時からエース番号を背負っていた三浦浩太郎投手(2年)は人一倍、屈辱を味わった。外野に運ばれたサヨナラ打を確認し、マウンド上でがっくりと頭を垂れ、人目をはばからず号泣した。「緊迫した雰囲気に負け、重圧に押しつぶされた。冷静な投球ができなかった」。2年生たちは雪辱を誓った。この時の涙が、選手たちを大きく成長させることになる。
3カ月後の秋季東海地区高校野球大会。戦力の低下が指摘される中、三重は輝きを放った。勝負強い打線に加え、接戦を勝利に結び付けられる高い守備能力を特に身につけていた。
守備面で最も大きく貢献したのが、三浦投手だ。同大会3試合を完投し、準決勝の市岐阜商(岐阜)戦では完封勝利を挙げた。曲がりが大きく、狙って三振を奪えるスライダーと、直球のコンビネーションが威力を発揮し、夏の県大会でもバッテリーを組んだ小林大輝捕手(同)との呼吸も抜群だった。
何より、マウンド度胸が据わっていた。ピンチにも動じず、大崩れはしない。「精神面の成長が一番大きかったと思う」。けん制で走者をくぎ付けにするなど、落ち着いたマウンドさばきを披露した。
10年の前回大会、静清(静岡)との準決勝で、延長十回に四死球で走者をため、サヨナラ負けした教訓も生かした。今大会は、先頭打者に四球を与えたのは2度だけだ。「力不足で負けてきて、悔しかった。絶対にやってやろうと思っていた。甲子園に行くために、ここに来たんです」。絶対的エースは言葉に力を込める。
何度も倒され、その度に、泥にまみれながら立ち上がった。挫折を糧に、センバツ出場を勝ち取った三重。紫紺の大旗を目指すこの春、ナインたちは、大輪の花を咲かせる。
〔三重版〕
毎日新聞 2012年1月31日 地方版