◇快進撃支えた投手陣

 作新学院は昨秋の県大会で優勝し、続く関東地区大会で準優勝と快進撃を見せた。1点を争う緊迫した試合展開でも好機をものにし、投手陣が踏ん張る姿があった。両大会をもう一度振り返る。

 ◆センバツへの軌跡◆

 【秋季県大会】

 ▽1回戦

○17-2 今市

 初回表1死二、三塁、高山のスクイズで鶴田が生還。六、七回には打線が爆発し、6点ずつ挙げてコールド勝ち。投げては水沼、蓮田、小林が継投した。

 ▽2回戦

○4-1 栃木工

 初回表、鶴田の右越え二塁打と石井の四球で1死一、二塁と好機を広げた。続く山下の中越え適時三塁打で2点を先取。先発・大谷は二回に1点を失ったが、要所を締め完投した。

 ▽3回戦

○7-2 宇都宮清陵

 二回裏、先頭・篠原が中前打。2死三塁から高嶋の左前適時打で先制、その後も小刻みに加点した。先発・大林は2点を許したが、七回から継投した小林が無安打で抑えた。

 ▽準々決勝

○5-0 青藍泰斗

 四回表2死一、二塁、蓮田の右越え適時三塁打で2点先取。五回には2死二塁から高山の中前適時打で4点目。先発・大谷は7回を無失点。大林、小林と継投し零封。

 ▽準決勝

○9-7 白鴎大足利

 初回に3点を失ったが、二回表、先頭・高山の右越え三塁打で反撃開始。羽石の中前適時打などで計4点を挙げ逆転。五回には篠原がソロ本塁打。大谷は9安打を許したが完投。

 ▽決勝

○2-0 文星芸大付

 八回まで無得点の緊迫した状況が続いたが、九回表先頭の篠原が中前打で出塁すると、続く高山が左越え2点本塁打。投げては大谷が相手打線を7安打無得点に抑えて完投した。

 【秋季関東地区大会】

 ▽1回戦

○8-3 花咲徳栄(埼玉)

 同点で迎えた五回表2死二塁、鶴田の適時二塁打で勝ち越し。八回には左前打の山下に羽石が中前打で続き、1死一、二塁から大谷の右中間を抜く適時二塁打などで3点追加した。大谷は3点を失ったが完投した。

 ▽準々決勝

○6-2 横浜(神奈川)

 1点を追う三回表無死一、三塁、鶴田の中犠飛で同点。八回2死二、三塁、高嶋の右越え適時二塁打で2点を追加。九回には高山の左越え2点本塁打で突き放した。大谷は9安打を浴びたが、二回以降は得点を許さず完投した。

▽準決勝

○6-3 高崎(群馬)

 三回表1死二塁、鶴田の右中間を破る適時三塁打などで2点先取。九回2死、鶴田がバントヒットで出塁すると、高山の左中間を破る適時二塁打で鶴田が生還、6点目を挙げた。大谷は七回までに2点差に迫られたが、後続を抑えた。

 ▽決勝

●0-5 浦和学院(埼玉)

 相手投手にコーナーを丁寧に攻められ打線は打ちあぐねた。六回表2死一塁、山下の右越え二塁打で一塁走者の高山が本塁を狙うがタッチアウト。最終回も2死一塁としたが、高嶋は右飛で試合終了。投げては小林、鈴木、水沼、大谷が継投した。

 ◇江川投手ら築いた歴史 県勢、優勝1回・準優勝2回

 東日本大震災の直後に幕を開けた昨年、開催への賛否両論があったが、創志学園(岡山)の野山慎介主将が「人は仲間に支えられることで大きな困難を乗り越えることができると信じています」と選手宣誓。うちひしがれた国民に感動を与えた。国民的行事として親しまれ、多くの名勝負を演じてきたセンバツ。県勢が刻んだ歴史を紹介する。

 全国に栃木勢の実力を強烈に示したのは第34回大会(62年)の作新学院だ。後にプロ野球・ロッテで活躍する八木沢荘六投手を擁し、準々決勝の八幡商(滋賀)との延長十八回引き分け再試合を制し、準決勝も松山商(愛媛)との延長十六回を加藤斌投手(元中日、故人)の救援で降すと、日大三(東京)を八木沢投手が1-0で完封。紫紺の優勝旗が初めて利根川を渡った。凱旋(がいせん)したナインを待ち受けていたのは、大通りを埋め尽くした20万人の市民。馬場通りのアーケードの上まで人があふれたという。作新学院は同年の夏の大会も制し、史上初の春夏連覇を達成した。

 高校野球ファンに強烈な印象を残したのは第45回大会(73年)の「怪物」江川卓投手(元巨人)=作新学院。準決勝で広島商(広島)に惜敗したが、剛腕から繰り出す速球で築いた通算60奪三振は今も大会記録だ。

 第48回大会(76年)では小山が準優勝。決勝で崇徳(広島)に敗れたものの、岡山東商(岡山)、土佐(高知)、東洋大姫路(兵庫)という古豪にいずれも1点差で勝つ快進撃をみせた。第58回大会(86年)では、宇都宮南が、近鉄や楽天で活躍した高村祐投手を擁し、1回戦で御坊商工(現紀央館、和歌山)にサヨナラ勝ちして波に乗り決勝進出。決勝では「やまびこ打線」の池田(徳島)に敗れたが、初出場準優勝に県内は再び沸いた。

 第72回大会(00年)には国学院栃木と作新学院がアベック出場。国学院栃木はベスト4入りし、県勢の実力を示した。第78回大会(06年)は真岡工が21世紀枠で甲子園初出場。春夏通じて初めてとなる芳賀地区からの甲子園出場で地元は沸いた。甲子園では1回戦でPL学園(大阪)に敗れたが、最後まで勝負を諦めない姿勢は感動を呼んだ。

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 ◇作新学院投打成績

 ◆秋季県・関東地区大会投手成績◆

    試合数 完投  投球回数  被安打 奪三振 与四死球 自責点  防御率

大谷   8  6  61回1/3  53  30  15  12  1.76

小林   4  0   8回1/3   8   8   6   4  4.32

大林   2  0   7       4   4   3   2  2.57

水沼   2  0   5回2/3   7   2   2   3  4.76

蓮田   1  0   3       1   4   2   0  0.00

鈴木   1  0   1回2/3   1   0   2   0  0.00

 ◆秋季県・関東地区大会打撃成績◆

          試   打   安  点  振  球  盗  失    率

投 大谷樹弘 2  8  26   9  5  1  2  1  2  .346

捕 山下勇斗 1 10  40   8  3  9  2  0  1  .200

一 篠原優太 2 10  38  11  3  4  4  0  0  .289

二 浅野壮也 2 10  21   6  2  1  1  1  1  .286

三 高嶋翔馬 2 10  36   9  6  2  1  1  0  .250

遊◎石井一成 2 10  41  18  6  5  6  7  2  .439

左 羽石裕紀 2 10  30   9  4  2  9  5  3  .300

中 鶴田剛也 2 10  38  14  4  4  7  9  0  .368

右 高山良介 2 10  37  15 15  3  6  0  1  .405

補 大林禎規 1  2   1   1  0  0  0  0  0 1.000

補 水沼和希 2  2   2   0  0  0  0  0  0  .000

補 鳥取信吾 2  1   1   1  1  0  1  0  0 1.000

補 涌井翔太 2  6   4   2  1  0  1  0  0  .500

補 山梨浩太 1  6   5   0  1  2  0  0  0  .000

補 蓮田拓実 2  5  12   1  3  2  1  0  0  .083

補 鈴木将史 1  2   1   0  0  0  0  0  0  .000

補 小林勇介 1  4   6   3  4  0  0  0  0  .500

補 布瀬恭平 2  5   5   1  1  0  0  1  0  .200

          計 344 108 59 35 41 25 10  .314

 ※◎は主将、氏名の後ろの数字は学年。試は試合数、率は打率。

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 ◇センバツでの県勢の成績◇

11回(1934年)栃木中   2回戦

16回  (39年)栃木商   1回戦

23回  (51年)宇都宮工  準々決勝

30回  (58年)宇都宮工  2回戦

33回  (61年)作新学院  2回戦

34回  (62年)作新学院  優勝

35回  (63年)宇都宮商  1回戦

43回  (71年)作新学院  2回戦

45回  (73年)作新学院  準決勝

47回  (75年)小山    1回戦

48回  (76年)小山    準優勝

49回  (77年)作新学院  1回戦

51回  (79年)作新学院  1回戦

          宇都宮商  2回戦

58回  (86年)宇都宮南  準優勝

59回  (87年)国学院栃木 2回戦

60回  (88年)宇都宮学園 準決勝

61回  (89年)宇都宮工  1回戦

63回  (91年)宇都宮学園 2回戦

65回  (93年)佐野日大  3回戦

66回  (94年)佐野日大  1回戦

68回  (96年)宇都宮工  準々決勝

69回  (97年)国学院栃木 2回戦

72回  (00年)国学院栃木 準決勝

          作新学院  準々決勝

74回  (02年)宇都宮工  1回戦

76回  (04年)作新学院  1回戦

78回  (06年)真岡工   1回戦

79回  (07年)佐野日大  2回戦

80回  (08年)宇都宮南  1回戦

(県高野連調べ)

毎日新聞 2012年1月28日 地方版