プロ野球でいくつかの連敗記録を取材したことがある。ロッテが喫した18連敗は98年。プロ野球ワースト記録更新となった17連敗目のオリックス戦、九回2死から同点2ランを浴びた黒木知宏投手はマウンドでしゃがみ込んで動けなくなった。広島が球団タイの13連敗をしたのは99年。連敗を止めた中日戦で、いつもは冗舌な達川晃豊(現光男)監督が少し涙ぐんだのも印象的だった。
負けが続くと、悪い方へと思考が傾く。勝てないんじゃないかと弱気になり、普段は当たり前のプレーですらできなくなる。
同一チームではないが、高校野球で夏の甲子園に出場してきた県勢も、連敗の重圧と格闘してきた。それだけに、今夏の甲子園での能代商の活躍は素晴らしかった。初戦の逆転勝ちで呪縛を解くと、2回戦は緊迫した投手戦に競り勝った。3回戦は負けはしたが、見事な中継プレーで見るものを感動させた。個々の力は決してトップレベルにはないものの、広いグラウンドを縦横無尽に駆け回る姿は自信にあふれていた。
5月、17年ぶりに秋田に帰ってきた。高速道路網は広がり、新しくなった秋田駅には新幹線の姿がある。しかし、きれいになった市街地に人は少なく、閉じられたままの店舗も目立つ。今ひとつ元気が感じられないのは、東日本大震災の影響だけではないだろう。
景気低迷、過疎、少子高齢化……。秋田の課題は今に始まったことではないが、「人口は減っていくばかりなんです」と取材で知り合った人はあきらめ顔だった。連敗中とは言わないが、この閉塞(へいそく)感を破るにはどうしたらいいのか。明確な答えはないが、そのヒントは、大舞台でも気後れすることなくプレーした能代商ナインが示してくれたような気がする。
毎日新聞 2011年12月31日 地方版