プロ野球・ドラフト会議で、横浜市・JX-ENEOSの21歳左腕・嘉弥真新也がソフトバンクに5位指名された。全国デビューとなった今大会、敗れた1回戦で救援登板し、制球が乱れ1回余で降板。だが、評価は揺るがなかったようだ。
嘉弥真に飛躍の場を与えた沖縄・ビッグ開発クの監督、下地剛さんに電話した。「びっくりしましたよ」と声が弾む。不動産業などを展開するビッグ開発の創業者、下地さんが08年、「沖縄の高校野球はレベルが高いのに、その後の受け皿が少ない」と発足させたチーム。選手はグループ会社で仕事をしつつ夢を追う。石垣島出身の嘉弥真は1期生だった。高校時代は外野手兼2番手投手で、最後の夏は沖縄大会で初戦負け。就職先を探していたところチームを紹介された。「当初は4、5番手投手だった」と下地さん。しかし、厳しい練習で力をつけた。
チームは昨年、都市対抗九州2次予選に初進出。その立役者だった嘉弥真は今季、神奈川の強豪に移籍した。「選手をより高いレベルに送り出すことが目標。快諾しました」
かつて200以上あった企業チームは現在83。しかし才能ある選手は時にすくい上げられ、チャンスをつかむ。嘉弥真はそんないい例だろう。
下地さんは嘉弥真をこう祝福した。「おめでとう。でも都市対抗はみっともなかったな」
毎日新聞 2011年10月29日 東京朝刊