◆春季高校野球宮城県大会 中部地区予選 東北17―0宮城広瀬=5回コールド=(23日・仙台市民球場) “新生東北”が大勝で再スタートを切った。昨年9月の部内暴力事件以来、約7か月ぶりの公式戦に登場した東北が17―0の5回コールドで宮城広瀬を一蹴した。新エースの右腕・佐藤朔弥(3年)が先発し、3回を1安打無失点に抑えるなど3投手のリレーで零封。打線も佐藤に3ランが飛び出すなど、10四死球に9安打を絡めて17得点を挙げた。

 大勝で“初陣”を飾った新生東北。投打がかみ合った最高の試合にも、ナインに笑顔はなかった。整列を終えると、父母らが応援する一塁側スタンドに向かい帽子を取り、深々と頭を下げた。

 我妻敏監督(26)は「事件のことはどうしても、この子たちについてくる。引きずることはないけど、決して忘れてはいけない。伝統をもう一度、新しい何かを残すために精いっぱいやりました」と淡々と振り返った。

 指揮官が「ここ(球場)にいられるだけでも幸せ」と鼓舞して始まった試合。ナインは大暴れした。新エースの佐藤が先発し、3回を1安打無失点。2回裏には高校で初本塁打となる3ランも放った。「今日は大切な試合。大事に行きました。本塁打? たまたまです」とかすかにほほ笑んだ。2番手で登板の高橋信也(3年)も1回を零封。昨年6月に右ひじを手術し、見事に復活を遂げ「いろいろ苦しかった」と息をついた。

 打線も大爆発だ。中でも2番の篠塚翔平(3年)は初回の先制打を含む3安打5打点。「とにかく後ろにつなぐことを考えてました」とチーム打撃を心がけた。

 活動自粛中は校内や近隣の清掃など奉仕活動を続けた。連日、選手間でミーティングも開き、再発防止に努めた。3月下旬には静岡などに遠征し、ナインは毎晩「野球をさせてもらえることがありがたい」と確認し合った。

 鈴木翔主将(3年)は「事件を受け止めて、周りの人々に恩返しをしていく。夏勝つために、春も1つも負けない」と宣言。身も心もひと回り成長して、東北が帰ってきた。