高校野球archive

第90回全国高校野球選手権鹿児島大会は15日、県立鴨池球場で準決勝2試合があった。春夏連続出場を目指す鹿児島工が5試合連続無失策の堅守で昨夏の覇者神村学園を破り、2年ぶりの甲子園に王手。昨夏準優勝の鹿児島実は樟南との投手戦を制し、4年ぶり16回目の甲子園出場を目指す。決勝は同球場で、16日午後1時5分試合開始予定。

 ◇鹿工が神村の反撃振り切る
 ▽準決勝(県立鴨池)

神村学園

  000000010=1

  10000200×=3

鹿児島工

 石堂投手の好投と5試合連続2ケタ安打の打撃で、鹿児島工が神村学園の反撃を振り切った。鹿児島工は初回、内村選手が左前に適時打を放ち先制。六回には橋本、福迫両選手の適時打で待望の追加点。石堂投手は初回無死三塁のピンチを2三振と内野ゴロに抑え流れをつかみ、8奪三振の完投勝利。3安打と打撃でも活躍した。神村学園は八回2死、寺田、諏訪原、小原3選手の連打で1点を返す意地を見せたが、後続を断たれた。

 ◇鹿実、樟南との投手戦を制す
樟南

  000000000=0

  00010000×=1

鹿児島実

 岩下投手の投打にわたる活躍で鹿児島実が投手戦を制した。鹿児島実は四回、中前打の森田選手が犠打と内野ゴロの間に三塁へ。岩下投手が中前にはじき返し、自らのバットで先制点をたたき出した。その後、速球と変化球を織り交ぜた投球で樟南打線を翻ろう。虎の子の1点を守りきった。樟南は辻野、榎本両投手の継投で岩下投手と同じ被安打4でしのいだが、五回1死一、二塁の好機に併殺されるなど打線が援護できず、涙をのんだ。

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 ■青春譜

 ◇逆境越え前向きに--鶴田都貴選手=神村学園(3年)
 高校通算50本塁打という県内随一の強打者がバットを構えた。

 2死一、三塁。2点を追う八回。高まる「一発逆転」の期待。スタンドの応援席から割れんばかりの声援がわき起こった。

 「6年間の最後の打席かもしれない。思い切り振ってこい」。中等部から苦労を共にした永石和輝投手が声を掛けた。

 「みんながつないでくれた」。鋭い打球は三塁線をわずかに切れるファウル。最高潮を迎えた舞台で放たれた、外角のきわどい直球。自信を持って見逃した球に、主審の右腕が上がった。

 昨夏、甲子園出場が決まり、病床の祖父を見舞うと「お前が甲子園に行くのを見るまで死ねない」と声を掛けられた。その言葉を胸に帝京(東京都)との一戦で、左翼席に本塁打をたたき込んだ。祖父は昨年12月、78歳で亡くなった。病床には当時の写真が飾られていた。「もう一度甲子園に」。願いは届かなかった。

 個性の強い選手ぞろいで「自分が」の意識が強かった。しかし、最後の夏が近づくにつれ「つなぐ」意識が高まった。「最後にチームが一つにまとまってよかった」

 監督交代など、さまざまな逆境を乗り越えてきた3年間。今後も野球は続ける。前を向いて、鴨池球場を去った。

毎日新聞 2008年7月16日 地方版