<社会人野球日本選手権・静岡大会:TDK5-3沖縄電力>◇1回戦◇7日◇草薙球場

 「新生」TDK(秋田)が09年公式戦初戦を白星で飾った。沖縄電力を延長12回の末、5-3で下した。TDK千曲川(長野)と統合し、初の合同練習からわずか3週間の準備期間とありサインミスもあったが、接戦で勝利。今季から指揮を執る佐藤康典監督(39)は「焦らずにやっていきたい」と、3年ぶりの全国制覇を目指す都市対抗の1次予選(6月)を見据えた。

 勝利の瞬間、TDKナインが満面の笑みでベンチを飛び出した。スタメンも控え組も関係なく笑顔が絶えない。経済不況のあおりを受け2月、千曲川が廃部となり統合。秋田にも、退部を余儀なくされた選手がいた。野球ができる喜びをかみしめ、部員30人がグラウンドで一体となった。

 2月まで別々のチームだったと思わせない、明るい雰囲気で終始、ペースを握った。追加点が取れず、8回に同点とされたが、主将の阿部博明遊撃手(30)は「配球を読んで、しっかり振っていく。それが今季の目標である『攻撃野球』。これからです」と心配はしていない。じっくり粘り延長12回表、敵失につけ込み、ノーヒットで決勝点をもぎ取ったことも「評価できる」と佐藤監督は評価した。

 「守備の秋田に、千曲川の攻撃が加わり、レベルの高い野球になる」と阿部主将。深夜0時30分から午前8時50分までの勤務後、一睡もせずに野球練習というケースが頻繁にあった千曲川。秋田では勤務は午前中のみで、午後1時から一斉に練習が始まる。じっくり「攻守」を融合させ、06年以来の都市対抗優勝が、今季の目標だ。

 18年間、在籍した千曲川を離れた玉野武知二塁手(36)は単身赴任で秋田に来た。別れ際、小4の娘遥さんが号泣したという。「都市対抗でもう1度、勝負したかった」と家族の涙を胸にしまった。さまざまな思いを乗せ、新生TDKが船出した。

 [2009年4月8日11時20分 紙面から]