◆バスケットボール全日本総合選手権第3日 ▽女子3回戦 デンソーアイリス69―63山形銀行(3日・東京体育館) 社会人1位で出場した女子の山形銀行(山形)は、女子日本リーグ(WJBL)4位のデンソーアイリスに63―69で惜敗。8年ぶりの出場で2勝を挙げたが初のベスト8入りはならなかった。だが国内トップレベルの強豪相手に大善戦を演じ、山田かがりヘッドコーチ(36)をはじめ選手たちは、悔しさの中にも達成感をかみしめていた。
悔しさを感じたのは一瞬だけだった。敗れはしたが、Wリーグ4位の強豪相手に、6点差の大接戦。コートを出る山形銀行の選手たちは笑顔で応援席に手を振った。「反省点はあったけど思い切りできた。よく頑張れたと思う」主将の小泉里紗(26)の表情には満足感が漂っていた。
第1Qを17―10。リー ドしたことよりも「よく10点で抑えた。守備が機能した」(山田ヘッド)。連戦のため相手の研究ができず、前日に1度ビデオを見ただけの選手たちは柔軟に対応した。第2Qで逆転されたが第3Qで再逆転。第4Qで3Pシュートを3本連続で許して突き放されたが、「上出来で10点差以内、悪ければ20点差以上は…」という山田ヘッドの試合前の不安は杞憂(きゆう)に終わった。
「体格の差以外は自分たちでも通用した。自信になった」と小泉。他の選手にも悲壮感はなかった。ただ一人、センターの渡辺千尋(22)だけが泣いていた。「第4Qにレイアップを外したり…もう少し頑張れた」敗戦より金星を逃した悔しさが涙を流させた。
メンバー12人全員が仕事とバスケの“二足のわらじ”。通常業務を午前8時から午後3時まで行ってから集合、2時間半の練習時間は実業団の半分にも満たない。仕事では当然、窓口に立ってお金を扱う。生命保険や投資信託を売る資格を持つ選手もいれば、簿記を通信講座で受講する部員もいる。だが、「不景気の中で企業スポーツをさせてもらうのは幸せ」と小泉主将は会社への感謝を忘れなかった。
8年ぶりの正月の大舞台は、「成長して自分のチームじゃないみたい」(山田ヘッド)と、収穫をつかんで終わった。選手たちは山形に戻って、5日から初仕事。制服とユニホームを着替える日々はこれからも続く。