野球のラインアップで好きなのは「3番セカンド」だ。この響きがたまらない。オリジナル選手を作ることができる野球のテレビゲームでは、育てた選手を必ず「3番セカンド」に据える。

 たぶん、王・藤田時代の巨人を支えた篠塚和典選手(現コーチ)のインパクトが大きかったからだと思う。首位打者2回、ベストナインを5回獲得した名選手で、左打席からの流し打ちが絶品だった。それまでのセカンドは、バントなどの小技に優れたいぶし銀(例えばV9巨人の土井正三氏)、打順でいえば2番か下位。そんな地味なイメージを華麗に変えてくれた。

 だから、大学の体育や記者クラブの懇親会でソフトボールをやったら、セカンドをかって出たものだ。下手っぴがやるのはライトかセカンドと相場が決まっていたから、ライバルはいなかった。

 こんな古い話を持ち出したわけは、この夏の高校野球にある。盆休みにテレビ観戦していて気付いたのだが、勝ち進んだチームに「3番セカンド」が多かったのだ。優勝した大阪桐蔭、準優勝の常葉菊川をはじめ、ベスト8のうち5校がそうで、しかも4人が左打者。試しに調べたら、出場55校中、左打者のセカンドはスイッチヒッターを含め32人にのぼる。

 昨夏の8強にはゼロ、今春のセンバツ8強は1校だけだから、今大会のカギを握っていたのは「3番セカンド」だったといってしまおう。独断だけど。今大会の選手から、篠塚選手以来の私の胸をこがす「3番セカンド」のプロ選手が出てきてほしい。野球がもっと面白くなるはずだ。(社会部)

毎日新聞 2008年8月23日 大阪朝刊