◇座禅で集中力養成--光泉
◇100本ノック、心も一つ--彦根東
◇平バットで感覚磨く--八幡商
「パチン」。今月2日、草津市野路町の光泉第2グラウンドで、阪本哲平・野球部長が手をたたくと、一塁線沿いの地面にあぐらをかいた部員55人が一斉に目を閉じた。練習の前後に5分間ずつ座禅をし、メンタル面の強化を目指す。
きっかけは01年夏の滋賀大会決勝で近江に1-9で大敗したこと。林幹弥監督は敗因を「集中力が続かなかった」と分析し、高校時代のチームメートの妙心寺塔頭金牛院(たっちゅうきんぎゅういん)(京都市右京区花園)の小倉大岳副住職を選手と訪れ、座禅研修をした。
これを機に練習に座禅を取り入れると、翌02年夏の滋賀大会で、彦根工を16-1で降して初の甲子園出場を果たし、定番の練習メニューに。「座禅は野球だけではなく、大学受験にも役立ったと言う生徒もいます」と林監督。的場恭太主将は「初めは足が痛かったですが、今は慣れ、何も考えずに座禅を組めます。練習中、余計なことを考えなくなりました。試合でも落ち着いて、つなぐ野球をしたい」と効用を語る。
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彦根東の大会前の恒例の儀式は「100本ノック」。毎年、ベンチ入りメンバーを中心に順番にノックを受け、計100回、ノーミスで捕球できるまで繰り返す“荒行”だ。今年は6月までクリアできず、今井義尚監督は「達成できなかったことを課題と受け止め、試合に臨もうと考えました」と振り返る。しかし、同月22日の練習試合で一方的な展開で負け、部員から「もう一度100本ノックを」との声が上がり、同月26日から再挑戦することに。7月2日には95本目で失敗したが、翌3日、やり遂げた。延べ5日間で計10時間14分かかった。「完成できた時は優勝したような騒ぎ。間違いなくチームが一つになりました」と今井監督。「球を捕球し、送球することは、チームで心を通わせること。心を込めて投げられるかが試される」と指揮官は手応えを感じている。
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「平バット」と呼ばれる“秘密兵器”で練習するのは八幡商。自主練習のティーバッティングで長さ約50センチ、幅約15センチ、厚さ約3センチの四角い板状のバットを使い、直径約5センチのゴムボールを打つ。ひじの位置や手首の使い方がおかしいと、ボールはうまく飛ばないという。3割3分8厘の打率を誇る加藤史典主将も「自分のバッティングが『おかしいな』と思うと、平バットで調整します」と明かす。
また、同校はソフトボールを使ったティーバッティングも採用。「ボールを上から、つぶすように打て。最初はゴロになるけど、慣れると、ライナーが打てる」と冨波義明・野球部長らが熱心に指導する。ゆっくり投げられた大きな球を打つことで、球を引き付けてベストポイントでとらえる練習だ。
これは大会1カ月前をピークに週に4、5回組まれ、1セット50球を4セットこなす。加藤主将は「これまでしてきた練習に自信を持って、試合に望みたい」と意気込む。
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第90回全国高校野球選手権記念滋賀大会が9日、開幕する。グラウンド内外で、それぞれの“野球道”を、とことん追求する人たちを追った。
毎日新聞 2008年7月6日(6日17時1分)