第90回全国高校野球選手権記念岐阜大会(県高野連など主催)が5日、岐阜市の長良川球場で開幕した。晴れ渡る空の下、午前10時から開会式が行われ、66校の選手らがさわやかな笑顔で行進した。同球場では1回戦2試合が行われた。開幕試合は羽島北が相手守備の乱れに乗じ、2安打で8点を挙げてコールド勝ち。緊迫した投手戦となった第2試合は、土岐紅陵が九回逆転勝ちをおさめた。6日は7球場で16試合が行われる。大会日程が予定通り進めば、25日に夏の甲子園の県代表が決まる。

 開会式では、選手たちが入場し始めると、スタンドを埋めた観客から大きな拍手が送られた。マーチングバンドの演奏に合わせて行進する選手たちは、緊張気味。昨夏の県大会の覇者、大垣日大の小川和也主将から優勝旗が返還されると、新しい夏の戦いの始まりに、球場の空気が張り詰めた。

 県高野連の三鴨明美会長は「日ごろの厳しい練習の成果を出し、ただひたすら白球を追い、悔いのないプレーを」と激励。関商工の井上侑也主将が「白球と夢を追いかけてきた。多くの人に勇気と感動を与え、歴史に残る試合にする」と選手宣誓した。

 ◇万全の備えで本番
 ○…開会式の司会は大垣北高2年、堀琴絵さん(16)と加茂高2年の塚本真理子さん(16)が務めた。開会式用の原稿が届いたのは1週間前。堀さんは「練習しすぎても、声がかすれてしまうので」、のどの調子と相談しながら本番に備えてきた。塚本さんは、選手たちが元気になれるよう、声を高めに出すことに気をつけたという。選手宣誓の言葉に感動した2人。「全力を出して悔いのない試合を」とグラウンドに勢ぞろいした選手たちにエールを送っていた。

 ▽1回戦

 ○…長良川球場

 ◇揖斐、与四死球14
揖斐  0000000=0

羽島北 413000×=8

 (七回コールド)

 (揖)大橋、三浦、栗田-葛西

 (羽)山田-井村

▽二塁打 尾関一(羽)

 羽島北は一回、尾関一の二塁打などで先制。三回、井村の適時打などで相手を突き放した。主戦・山田は7回無失点の好投。揖斐は14四死球の投手陣が誤算。五回に国枝直、近藤の連打で無死一、二塁の好機を作ったが、生かせなかった。

 ◇瑞浪・木山も好投
土岐紅陵

  000001002=3

  100010000=2

瑞浪

 (土)伊藤秀、安藤-吉村

 (瑞)木山、鵜飼-近藤

▽三塁打 田中(土)

 土岐紅陵は九回1死一塁、田中が右越え三塁打を放って同点に。さらに伊藤たくの内野安打で逆転に成功した。継投した安藤は4回を投げて被安打ゼロ。瑞浪の先発・木山は八回まで相手打線を3安打1点に抑える好投だった。

 ◇涙からのスタート
 ○…土岐紅陵ナインが逆転の歓喜にわく中、マネジャーで記録員の加藤愛さん(3年)は涙が止まらなかった。昨秋の地区大会でチームは5連敗。気まずくて、マネジャーをやめたいと思ったこともある。だが、照れくささを抑えて「いいバッティングだったよ」と選手に声をかけるようにしたところ、「ありがとう」と笑顔が返ってきた。「みんなに負けないくらいの笑顔で支えていこう」と誓って臨んだ県大会。涙が乾くと「ここからがスタート」と気を引き締めていた。

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 ■熱球譜

 ◇悔しさと感謝の涙--瑞浪・木山光二投手(3年)
 六回、相手チームのスコアボードに点が初めて刻まれた。工藤正紀監督は「木山に疲れがみえている」と感じていた。だが、「ずっと木山で勝ってきた」という感情が勝った。続投を選んだ。

 木山投手自身も七回ごろから、球威が落ちてきていると気付いていた。九回に逆転されて降板した時、ベンチの中で悔しそうな表情を見せた。

 ゲームセットの瞬間からしばらく、涙が止まらなかった。顔がぐしゃぐしゃになった。「最後まで投げたかった」という悔しさだけではない。「3年生13人、入部から一人も辞めずに続けてきた。仲間と一緒にやってこられたうれしさと感謝の気持ちが混ざっていた」

 バッテリーを組んできた近藤純捕手と、がっちり握手を交わした。「最高の支えになってくれた。チームのみんなも最後まで練習につきあってくれた」。開幕日にふさわしい、レベルの高い1回戦だった。木山投手に誇らしげな笑顔が戻っていた。

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 〓きのうの結果〓

 ▽1回戦

羽島北  8-0 揖斐

 (七回コールド)

土岐紅陵 3-2 瑞浪

毎日新聞 2008年7月6日(6日13時1分)