第90回全国高校野球選手権大会第14日は15日、甲子園球場で準々決勝2試合が行われた。第2試合では、浦添商が延長10回にセーフティースクイズで決勝点を奪い、慶応に4―3で勝利。11年ぶり2度目の4強進出を決め、沖縄勢春夏連覇にあと2勝とした。また第1試合は大阪桐蔭が報徳学園を7―4で下し、3年ぶりの4強進出。16日は残りの準々決勝2試合が行われる。

 【浦添商4―3慶応】浦添商の神谷監督は決めていた。「3バントでもスクイズだ」と。3―3の延長10回、1死三塁から上地俊のセーフティースクイズで勝ち越した。その裏の守りをエース伊波が締めると、女房役・山城と抱き合って優勝したような騒ぎ。浦添商が慶応との激闘を制し、11年ぶりのベスト4進出だ。

 緊迫の場面でも上地俊は冷静だった。初球にバントの構えで内野の動きを確認。三塁手のダッシュが鈍いのを察知し、カウント1―1から三塁前へ転がした。大会記録の9犠打を決めた“バント職人”は「絶対に決める自信がありました」と胸を張った。セーフティーバントはセンバツ優勝校で、沖縄大会決勝で下した沖縄尚学の得意技。上地俊はライバルを倒すため、ビデオで繰り返して見ているうちに奥義を学んだ。冬場には1時間の居残り練習でバントだけを特訓。大一番でその成果を発揮した。

 肩に張りを訴え、7回からの登板となった伊波がいきなり逆転を許したが、8回に山城の中犠飛ですぐに追いついた。この日は63回目の終戦記念日。山城は沖縄戦の激戦地だった伊江島出身で伯母2人を亡くしている。「苦しい試合だった」。全精力を傾け、記念日の1勝をもぎ取った。

 神谷監督は「凄い子供たちです」と声を震わせた。沖縄尚学に続く沖縄勢の春夏連覇まであと2勝だ。58年に沖縄代表として首里が初めて甲子園の土を踏んでから50回目の夏。沖縄の球史に新しい1ページを刻むときが来た。

 <慶応 田村が大粒の涙「ここまでこれたのは奇跡的」>「笑っていようぜ」の掛け声の中グラウンドを後にした“力道山の孫”田村だったが、報道陣の前では大粒の涙を流した。「後悔はないです。でも左肩痛でみんなに迷惑かけた時期があって…」。3年間の思い出が脳裏をよぎった。

 「相手の裏をかいた」という上田監督の決断で、県予選から6試合続いた田村―只野のリレーを逆にして臨んだ一戦。田村は5回から登板したが、7回に左足親指付け根を裂傷した。その裏の打席で一時は勝ち越しとなる適時打を放ったが、8回が始まる前に約10分間の治療。球威は落ち、10回に決勝点を許した。

 92年ぶり全国制覇はかなわなかったが、田村は「ここまでこれたのは奇跡的。この場所で自分は成長できた」と感謝をささげた。1メートル86の大型左腕は慶大への進学が濃厚で、今度は舞台を甲子園から神宮へと移す。

[ 2008年08月16日 ]