【智弁和歌山3-0済美】今年の智弁和歌山はただ打ちまくるだけじゃない。高校通算25本塁打の4番・坂口は試合前にふと、思いついた。「第1打席はわざと打ち損じよう」。初回2死一塁でスライダーに泳いで三ゴロ。これが“エサ”だった。3回2死一塁は同じスライダーを完ぺきにとらえて左越えの先制二塁打。5回もスライダーを左翼線へ二塁打。「スライダーを1打席目に打ち損じたら、後の打席もスライダーで来ると思いました」としてやったりだ。
今大会屈指のスラッガーも和歌山大会直前に右足首の疲労骨折が判明。テーピングで固めて痛み止めをのんで出場しながら同大会では4戦連発。甲子園初戦のこの日も3安打1打点と、4番の仕事を十分に果たして「自分のバッティングのことより、チームが勝ててよかった。甲子園では簡単に勝てない。工夫しないと」と胸を張った。
これで高嶋監督は歴代2位の甲子園通算勝利数を54とした。歴代1位、PL学園・中村監督(現名商大監督)の58勝は今大会で優勝すれば追い抜く数字だ。「打線のつながりがうまくいけば優勝できます」と指揮官。その目には8年ぶりの頂点が見えている。
≪背番号10の岡田が完封一番乗り≫背番号10の2年生左腕、岡田が今大会完封一番乗りだ。最速140キロの直球で、愛媛大会1試合平均11得点の済美打線を6安打に抑えた。昨夏、今センバツは全4試合で先発も中盤乱れて交代していた。自身甲子園初勝利に「とにかく自分のピッチングをするのに必死だった」と笑顔の左腕をヤクルト・宮本スカウトは「来年ドラフトは上位候補になる可能性があるね」と評価した。
<済美 上甲監督、また高嶋監督に…>愛媛大会でチーム打率・392を誇った強力打線がまさかの零敗。宇和島東時代の94年センバツ準々決勝に続き、高嶋監督率いる智弁和歌山に敗れた上甲監督は「智弁さんの方が一枚上手だった」とさばさば。6回途中降板まで11安打を浴びながら3失点と粘った和歌山出身のエース古川は「中学時代の同級生とかがいて、やりにくかったけど、途中から気にならなくなった。相手が智弁で良かった。悔いはない」と涙ながらに話した。