第90回記念全国高校野球選手権の宮城県大会が5日、東北6県のトップを切って開幕する。Kスタ宮城での開会式直後の開幕カードで激突するのは、上沼(うわぬま)と仙台向山(むかいやま)。体調不良で入院中の赤井沢徹監督(28)が外出許可を得て、熱血指導中の上沼は3年ぶりの初戦突破が目標。唯一の3年生・伊藤雄也主将(3年)がチームを引っ張る仙台向山は2年ぶりの白星を狙う。勝者は2回戦で3年連続代表を目指す強豪・仙台育英と対戦する。

 たった1人の3年生が、仙台向山を引っ張る。選手26人のうち、唯一の最上級生が主将の伊藤雄也捕手。物腰も穏やか。必然的に主将を任され、「強くモノを言える性格ではないので、主将は向いていない」と悪戦苦闘しながらも、チームをまとめてきた。

 最後の夏、最初の舞台がKスタでの開幕戦。伊藤は「勢いに乗れば、打線は結構つながる。1年の夏にもKスタを経験したけど、蒸し暑かったのを覚えている。気をつけたい」と闘志を燃やす。

 昨年夏の大会が終わった時点で、伊藤ら3人いた新3年生。だが、その後、2人が退部。とうとう1人になった。伊藤自身、数々の故障に悩まされ、リハビリのため、練習を休む日々が続いた。

 東北学院中時代、県大会出場の経験も持つが、右ひじのはく離骨折、腰つい分離症に立て続けに襲われた。腰の痛みは慢性化。いまだ完治していない。あまりの満身創痍(そうい)ぶりに、横田一秀監督(56)も「お前はどうするの?」と心底、心配したという。それでも、「やっぱり野球が好き。高校で野球をして甲子園を目指すのは、今しかできない。辞めることは考えもしなかった」と伊藤。「退部」の2文字が頭をよぎることは、最後までなかったという。

 上沼との開幕戦に勝つと、2回戦の相手は仙台育英。先月上旬にも右太もも裏を痛めるなど、万全の状態からはほど遠い伊藤だが、「このチームで上に行きたい。まずは初戦。そして、育英を倒したい」きっぱりと言い切った。