第90回記念全国高校野球選手権の宮城県大会が5日、東北6県のトップを切って開幕する。Kスタ宮城での開会式直後の開幕カードで激突するのは、上沼(うわぬま)と仙台向山(むかいやま)。体調不良で入院中の赤井沢徹監督(28)が外出許可を得て、熱血指導中の上沼は3年ぶりの初戦突破が目標。唯一の3年生・伊藤雄也主将(3年)がチームを引っ張る仙台向山は2年ぶりの白星を狙う。勝者は2回戦で3年連続代表を目指す強豪・仙台育英と対戦する。
順調な調整で夏本番を待っていた上沼ナインに衝撃が走ったのは、6月27日のことだった。赤井沢監督が体調を崩し、仙台市内の病院に入院。県大会目前、チームに不穏な空気が漂ったが、指揮官は「3年生にとっては最後の大会。何としても―」と医師を説得。なんとか外出許可を得た。
病院とグラウンドの約70キロを連日、往復。指導を続けてきた赤井沢監督の姿に、同監督がクラス担任でもある佐藤良(2年)は「体調が悪いのに本当にありがたいです。勝利をプレゼントしたい」と声を大にした。
熱血監督が常々、大切にしているのが「団結」だ。1年生2人と2年生1人が入部する前の3月下旬、当時、所属していた9人だけで「結束を深める目的」(赤井沢監督)で合宿も敢行した。練習の合間にはグラウンド脇の木を切り、土を掘り返し、2つのブルペンを手作りした。「手分けして1つの作業をして、団結力がついた。体力づくりにもなりました」と千葉卓登主将(3年)。指揮官の狙いはまんまとはまった。
甲子園出場経験もある岩手の強豪・盛岡大付と練習試合も行った。20点以上取られ、得点はわずか1点だったが、エース右腕・粕谷顕太(2年)は「バットの振り、投手の腕の使い方、普段の動作も、すべてが勉強になった」と“実りある敗戦”を経験。今の成長につなげた。
さあ、開幕戦。「緊張せずに普段の力を出してほしい。みんな頑張ってきた。何とか勝たせてあげたい」と赤井沢監督。“チーム一丸”の上沼が開幕白星を狙う。