渋谷の中国人の物件と裏のルール  | 人差し指のブログ

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「 日本人だけがなぜ日本の凄さに気づかないのか 」

ケント・ギルバート (Kent Sidney Gilbert 1952~)

石平 (せき・へい 1962~)

株式会社徳間書店 2017年8月発行・より

 

 

 

 

ケント 東京・渋谷の土地は、西武か東急がその大半を持っていますが、

     それ以外は華僑組合のみなさんが持っていることが多いですね。

 

 

     渋谷は華僑の人たちが多いのです。

 

 

     私はかつて渋谷センター街に飲食店をひらいたことがあります

     が、物件を押えるのが大変でした。

 

 

     それで華僑組合に入らせてもらい、そこの会長の息子さんが持っ

     ているバーに飲みに行ったり、そこの仲間とゴルフをしたり、いろ

     いろ仲良くしてもらって、ようやく物件を押えることができました。

 

 

     華僑の誰かが結婚したとき披露宴に呼ばれたことがありますが、

     渋谷の中国料理屋さんで、とても盛大なパーティーでした。

 

 

     日本国内に こういう社会もあるのだなあと思いましたね。

 

 

 石平 パーティーや結婚式に呼ばれたということは、ある意味で仲間だと

     認定されたということになります。

 

 

ケント そうですね。  仲間として認めてもらいましたから。

 

 

     じつは、私たちが借りた物件は、契約の解禁日に、何人もの人が

     手付金2000万円の現金を用意して、朝から行列して待っていた

     のです。

 

 

     しかし、私たちは華僑の人たちに根まわしをしていたので、その前

     に入って契約してしまった。

 

 

 石平 それが中国です。

 

 

     要するに、表面的には一つのルールみたいなものがあって、みん

     な順番で並びます。

 

 

     しかし、実際に動いているのは、表のルールではなくて、裏のルー

     ルなのです。

 

 

     その一つが、賄賂の原理。 賄賂を贈った者が裏口から入れる。

 

 

     もう一つが、大家族の原理。

     その家族の一員か、一員と認められた者は裏口から入れる。

 

 

ケント なるほど、私たちは、賄賂のほうではなくて、後者を選んだわけで

     す。

 

     不動産業者のアドバイスに従っただけですが。

 

 

 石平 逆に、そういうことをいつもやっているので、中国人は誰も、表の

     ルールは信じないのですよ。

 

 

     表のルールはただの飾り物で、すべて裏のルールで動いていると

     思っています。

 

 

     「上に政策あれば、下に対策あり」 で、

     すぐに裏ルールをつくるのも中国人の性質です。

 

 

     日本企業が中国で失敗する多くの理由は、表のルールしかわから

     ないからです。

 

 

     しかも、日本人は真面目ですから、じっと真面目に並んでいるので

     す。

 

 

ケント そう、真面目に並んでいましたよ、ちゃんと手付金を用意してね、

     少し申しわけないという気持ちになりましたが、われわれのような

     情報収集と努力をしなかったのだから、それは仕方ないですよ

     ね、という話で。

 

 

 石平 日本では賄賂を役人などに渡さなくてすみますが、中国人にとっ

     ては賄賂を贈るところがないのが、むしろ不思議に感じる場合も

     あります。

 

 

     要するに、すべて表のルールに従ってやるしかない。

 

 

 

 

                      10月29日の近鉄奈良駅付近