「日本の援助」と「中国の感謝?」  | 人差し指のブログ

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『 痛快鼎談 2 僕らが考える 「日本問題」 』

日下公人 / 渡部昇一 / 竹村健一

株式会社 太陽企画出版 2002年1月発行・より

 

 

 

 

竹村    日本は中国に年間三兆円、他のものもあわせれば六兆円くら

       いの援助をしています。

 

 

       日本の人口を一億で割れば、国民一人当たり約六万円も中国

       に援助しているんです。

 

 

       もちろん日本にしてみれば、中国への援助は贖罪としての意味

       があるんだけれど、中国から感謝の意を表明されたことはほと

       んどありません。

 

 

       せめて、「援助のおかげで病院が建ちました」 とか 「日本の

       おかげで道路ができました」 くらいのことをいってくれてもよさ

       そうなものですが、ほとんどありませんでした。

 

 

 

        そのことを産経新聞の古森義久特派員が、本当に執拗といっ

       ていいくらい、「まだ中国は日本の援助への感謝を口にしてい

       ない」 と言い続けてきました。

 

 

       お陰で日本からの援助が中国の経済発展に役立っていること

       を、中国も少しずつ認めるようになりました。

 

 

       2000年の秋に中国の朱鎔基首相が来日しましたが、そのとき

       僕は、日中関係に少し変化が生じたかなと思いました。

 

 

       ようやく中国が、「少し日本を冷たく扱いすぎたかな」 

       と考えるようになった気がします。

 

 

 

日下    その通りですが、それはもっと援助をもらうためでしょう。

 

 

       朱鎔基首相は 「日本からの援助に感謝している」 という発言

       を日本人を集めて人民大会堂でしたけれど、中国国民に向け

       ては隠したからです。

 

 

 

竹村    確かに、朱鎔基の日本への謝意を中国のマスコミは報じたが

       らないでしょう。

 

 

 

日下    中国が日本への態度を変えたのは、戦術の転換であって、

       中国が反省して日本を見直したわけではありません。

 

 

       中国の発言を鵜呑みにするのは危険だと思います。

 

       (略)

 

日下    日本の政治家が中国を訪れたとき、会食の風景がテレビで放

       映されたことがあります。

 

 

       その席である中国政府の要人が、「昔から日本は中国に援助

       してくれた。ありがとう」 と話す姿が映し出されたんですが、

       口ではそういうが顔はトップからの命令でそういわされる口惜し

       さで歪んでいました。

 

 

       それを見て私は、テレビというメディアの影響力にあらためて

       関心したのです・・・・。

 

 

竹村    あなたもうがった見方をする人ですねえ(笑)。

 

 

日下    その中国政府の要人は 「日本人ごときにこんなことをいわなく

       ちゃいけないのか」 と本当に悔しそうな表情をしていて、

 

       「中国のトップが日本へ行くから、外交上の理由で私は日本に

       感謝の意を表明しているんだ。これは上からの命令なんだ」 

       というのを、中国国民にアピールしている。

 

 

       そうしないと自分の政治生命が終わるという事情もあるのでし

       ょう。

 

 

       そん複雑な思いが彼の表情には表れていました。

 

 

 

 

 

 

      鹿の親子と外国人の観光客 10月30日 奈良公園にて撮影