日本の漫画家の「溢れ出る想い」 | 人差し指のブログ

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『 痛快鼎談 2 僕らが考える 「日本問題」 』

日下公人   /   渡部昇一   /   竹村健一

株式会社 太陽企画出版 2002年1月発行・より

 

 

 

 

 

日下   日本の漫画家が一昨年の秋、香港でマンガサミットを、

      北京で日中マンガ交流展覧会を開きました。

 

 

      そのときに日本から参加した漫画家のまわりには、現地の子供

      たちがいっぱい集まってきました。

 

 

      日本の漫画家の他には。シンガポールの漫画家、中国の

      漫画家、フランスの漫画家と、他にもたくさん世界の漫画家が

      列席していたんです。

 

 

       ところが、子供たちはすべて日本の漫画家の周りに集まってく

      る。

 

 

      日本の漫画家は世界の子供たちの憧れの的であり尊敬の的な

      のです。

 

 

       また、イベントのなかで 「二十一世紀にヒットする漫画はどん

      な漫画か」 というテーマで話をする機会がありました。

 

 

      日本以外の国の漫画家は 「自分はいい漫画を描いているけれ

      ど金持ちになれない」 「政府の弾圧が厳しくて、描きたいものが

      描けない」 「 IT を使って 漫画を描く時代になると思うが、私

      たちはコンピュータを買うお金がない」 と文句ばかりをいってま

      した。

 

 

       それに対して、日本のある女性の漫画家はこう発言しました。

      「好きな漫画が描けるなら幸せじゃないの。死ぬ気でやりなさい

      よ」 と。

 

 

      そういう気合いがほとばしっているから、日本の少女漫画には恐

     ろしい傑作が生まれるのです(笑)。

 

 

     だからこそ、アジアとヨーロッパの女性たちを勇気づけることがで

     きるんだと思います。

 

 

     そもそも 「少女マンガ」 は日本の発明です。

 

 

     外国にはありません。それがショックを与えているのだが日本人に

     は分かりません。   当然だから。

 

 

 

      それから、ある漫画家は 「日本も昔は政府の規制が厳しかっ

     た。それをわれわれは血と汗と涙で乗り切った」 といってました。

 

 

      いま日本の漫画界では、”ヘアー”でも暴力でも何でも描くことが

     できます。その意味では、日本の漫画家は世界一自由なんです。

 

     そして、その自由は漫画家が闘って勝ち取ったものです。

 

 

      それからもうひとりの漫画家は 「溢れ出る想いは止めることは

     できない。ヒットは結果である。まず、溢れ出る想いでわれわれは

     描いて描いて描きまくっているんだ」 といったのです。

     これがスピリッツですよ。

 

 

      日本の漫画家はすべてスピリッツの観点から発言をしていまし

     た。

 

 

     ところが、日本以外の国の漫画家は、満足な仕事ができない原因

     を、技術とか金とか社会情勢のせいにしてばかりいた。

     これは大きな違いです。

 

 

      私は日本の漫画家の話を聞いて、彼らの精神性に深く感動しま

      した。

 

 

      かつてのカミカゼ特攻隊の大和魂は、現代日本には消え失せた

      かと思っていましたが、大和魂は漫画家に引き継がれているの

      です。

 

 

竹村   (笑)。

 

 

渡部   今は高い評価を与えられていつ浮世絵だって、江戸時代には弾

      圧を受けました。

 

 

      それこそ浮世絵師は溢れ出る想いを浮世絵にしたんでしょう。

      そうでなければあの絵は描けません。

 

 

 

 

 

 

朝霞(埼玉)の花火大会  8月4日 中央公園にて撮影