~政策秘書給与の流用疑惑などで刑務所に入った元国会議員の山本譲司が安部譲二と対談しています~
「塀の中から見た人生」
安部譲二(あべ じょうじ)・山本譲司(やまもと じょうじ)
カナリア書房 2004年11月発行・より
<山本> 社会復帰がうまくいった人間に対する、そうじゃない元同
囚のやっかみのような話はよく耳にしますが。
<安部> それもあります。
僕の本が売れて多少人気が出た頃、懲役仲間に会うとみんな表面的には、おい、やっと目が出てよかったなって喜んでくれましたけど、わかるんです、 こころの底では羨んだり妬んだりしているのが。
だって考えてもごらんなさい。僕が逆の立場だったら、とてもじゃないけど素直に祝福なんてできやしませんよ。
それは刑務官や警察も同じなんです。
自分たちが捕まえて懲役に送り込んだのが、いい気になってあの野郎って思うんですよ。
これがヤクザだったらまた違って、オマワリはヤクザと妙な仲間意識みたいなもので結ばれていますから、ヤクザが出所してキャデラックにいい女を乗っけているのを見ても、おお、元気にやっているかと、別に羨みもしないくせに、カタギになって、作家でございなんてやっていると、なにかおもしろくない。
僕なんか、足を洗ってかれこれ二十五年。
当時の警察関係者はもうみんな現役じゃなくなっていますから、
さすがに最近はそっちの方面の圧力はなくなりましたけど、
『塀の中の懲りない面々』 が爆発的に売れて人気が出た頃は、懲役仲間よりむしろ警察のほうに、ずいぶん足を引っ張られて痛い思いをしたもんですよ。
5月18日 光が丘 四季の香ローズガーデン(東京・練馬)にて撮影