フランスの原子力発電関連企業にアレバという会社がある。
株式の五〇%をフランス政府が持ち、残り五〇%が民間である。
このアレバがサルコジ大統領の時代に経営難に陥り、株式の二〇%を三菱重工が取得することになった。
そうなるとアレバが三菱重工の系列に入るので、フランスで大反対の声が湧き起こった。
特に政権の中枢、つまり大統領が反対した。
最大の株主であるフランス政府の了解を得るため、アレバの社長が大統領と面会すると、大統領が 「やめろ」 といった。
これに対して、「では、三菱重工の提供してくれる技術と同じものを提供してくれる先を探してください。それができなかったら、うちはつぶれます」
と社長が反論し、三菱重工の資本参加が認められている。
再びアレバの経営が傾いているが、今度もまた、三菱重工に 「持ち高を増やしてほしい」 「援助もほしい」 と話を持ちかけた。
どうなるかわからないけれど、アレバがつぶれるのを免(まぬが)れるために、三菱重工は結局、アレバに救済の手をさしのべることになるだろう。
それから、自動車メーカーのルノーは、今や 「日産あってのルノー」 だ。
ルノーは赤字だから、研究開発をする力がない。そこでルノーの研究開発は日産が受け持っている。
要するに、日産がルノーを助けているのである。
そればかりか、ルノーはCEOのゴーンのおかげで日産から金をもらって資金を確保している。
彼と日産の縁が切れたらルノーはどうなるか。
ゴーンを軸にしてやっているルノーは、彼が日産から離れると同時にパンクするだろう。
このようにフランス企業の競争力は低い。
フランスでさえそうだから、その他のヨーロッパ諸国もたいがいは弱い。
例外はドイツである。
「2016年 世界の真実」
長谷川慶太郎 (はせがわ けいたろう 1927~)
ワック株式会社 2015年9月発行・より
4月22日 光が丘 夏の雲公園つばき園(東京・練馬)にて撮影