「世界は邪悪に満ちているだが、日本は・・・。」
日下公人(くさか きみんど)・高山正之(たかやま まさゆき)
ワック株式会社 2015年12月発行・より
<日下> アメリカに渡ったピルグリム・ファーザースたちは、だいたいが犯罪者なんです。
「刑務所から出してやるから、アメリカに行って開拓でもしろ」 と言われて追い出されてきたような人たち。
彼らは、知らない土地に追い出されたから、「神の恩寵(おんちょう)がある」 とでも思っていなければ生きていけなかった。
それで、彼らは 「信仰の自由」 という格好いいことを言い出した。それが、いままでつながっている。
ピルグリム・ファーザースに続いた人たちも、実は契約移民が多い。
アメリカに行くと言っても、船賃を払えない貧乏な人たちだから、アメリカに着いたら船賃分だけ働いて、働き終わったら自由民になる。
英語ではindentured servitude(年季奉公)って言うけど、そういう人たちがアメリカという国をつくった。
いまのアメリカ人のうち、白人の多くは契約移民の子孫。
祖先は、元犯罪者や貧しい人なんですけど、それを言われるのが嫌だから、「先祖はイギリスの下っ端だった」 と言い張っている。
イギリスの田舎へ行って肖像画を買って帰ってきて、「これが証拠だ」 って言っている。
だいたい肖像画が掛けてある家は怪しい(笑)
<高山> 教会はどうですか?
<日下> 教会も怪しげなものが多いですよ。だんだん化けの皮が剥がれてきたから、いまは信者が集まらない。
アメリカの戦争のバックボーンに宗教があると言われるけど、牧師という仕事も就職先の一つに過ぎない。
彼らは軍隊が就職先だったというだけで、喜んで従軍牧師になった。
そして、軍隊について行って 「神のご加護で、明日の戦争は必ず勝つ」 なんていい加減なことを言っていた(笑)
そういうことをやっていたから、化けの皮が剥がれてきた。
このごろは信者も集まらなくなった。だから日本人が考えるほどキリスト教の影響があるわけじゃない。
5月7日 光が丘 四季の香ローズガーデン(東京・練馬)にて撮影