統治者は誰でもいい中国人 | 人差し指のブログ

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パソコンが苦手な年金生活者です
本を読んで面白かったところを紹介します

 

 

 

「国家の盛衰   3000年の歴史に学ぶ」

渡部昇一/本村凌二

祥伝社 2014年9月発行・より

 

 

 

<渡部>    シナ人は、私には公(国)など関係ない、公は勝手にやってくれ、

税金をあまり取らないでくれればそれでいい、

という気質を持っているように思います。

 

 

 

したがって、、支配者がモンゴル族であろうが、

満州族であろうが関係ないが、

干渉する中国共産党は疎(うと)ましいのです。

 

 

 

これを象徴的に表した映画が 『さらば わが愛 覇王別姫(はおうべっき)』 (1933年公開)です。

この映画は、軍閥時代から文化大革命までの中国を舞台にした京劇(きょうげき)俳優たちの物語ですが、

次のような場面があります。

 

 

 

日本の占領下の北京で京劇を上演していると、

白い手袋をはめた日本軍将校が観劇しています。

 

 

 

終演後、彼は手袋を取ると大きな拍手を送り

その後の宴席(えんせき)でも、歌舞(かぶ)を披露した俳優に礼儀正しく接しました。


 

 

日本軍が撤退すると、国民党が来場しますが、

観劇中にライトをつけて大騒ぎ、しまいには舞台に上がってきます。

 

 

 

たまりかねた主人公は 「やめてください、日本軍もしなかった」 というと、

兵士は 「日本軍より劣(おと)るとは何事だ!」 と怒り、劇場を破壊していくのです。

 

 

 

さらに、国民党政府は、日本軍の前で踊った俳優を 「売国奴」 として裁判にかけるのですが、

同僚が 「日本軍は手錠(てじょう)をかけ、銃で脅(おど)して   」 などと虚言(きょげん)を弄(ろう)するなか、

 

彼は 「日本軍は指一本触れなかった」 と証言します。

 

 

その後、国民党に代わって北京に入った共産党は、京劇を労働者が主人公の現代劇に変えようとしますが、 「これは京劇ではない」 と言い切る主人公は、文化大革命のなか    

 

 

香港と中国の合作映画で陳凱歌(チェン カイコー)監督以下、中国や香港の人が制作していますから、日本人や私の史観は入っていません。

 

 

 

民衆にしてみれば、劇を中止させられたり、劇場を破壊されたりするより、きちんと料金を支払い、観劇する支配者がいいに決まっています。

 

 

つまり、善政さえ布(し)いてもらえば、シャッポ(統治者)は誰でもよく、きわめて融通無碍(ゆうずうむげ)な気質を持っているのではないでしょうか。

 

 

 

ちなみに、この映画には盧溝橋(ろこうきょう)事件前夜、

中国学生による反日デモのシーンがあるのですが、

 

主人公が 「皆が愛国者面(づら)をしているけど、騒ぎを起こして発散したがってるのさ、

日本軍は郊外にいるんだから、そっちに行けばいいのに」 と話すシーンもあります。

 

 

なんとなく、現代中国の反日デモにも似ているように思ったのは私だけでしょうか。

 

 

昨年11月18日青葉台公園(埼玉・朝霞)にて撮影