地球の裏側に同じものが! | 人差し指のブログ

人差し指のブログ

パソコンが苦手な年金生活者です
本を読んで面白かったところを紹介します

 

 

 

 

「透きとおった迷宮」

吉田直哉(よしだ なおや 1931~2008)

株式会社文芸春秋 1988年5月発行・より

 

 

 

元バンコック特派員であった友人のM君から、驚くべき話を聞いた。

 

 

ビルマのマンダレーにちかいシャン高原にインレー湖があって、

そこの住民は蘆を編んで舟をつくり、浮き島まで蘆でつくって、

それを畠にして作物を栽培している、というのである。

 

 

 

        でも無論、それだけなら、そんなに驚きはしない。

 

 

 

問題は、同じような生活が営まれている場所としてすぐに思い出した、もう一つの湖との関係なのである。

 

 

 

「じゃあ、まるでチチカカ湖だ」

と私がいうと、M君が得意になった。

 

 

 

「・・・・・でしょう? すぐ思い出すでしょう? ただ似てるなんてもんじゃないんですぞ。 この二つの湖は、ふしぎなことに地球の中心をはさんで、正確に反対側に位置しとるんですぞ」

 

 

 

「・・・・・・・緯度も、 経度も? 」

 

 

 

「正確に、緯度も、経度も。 そして、そのことは原住民もみんな知っていて、

地球の向こう側に自分たちと全く同じ生活をしているやつが住んでいる、ってすごい親近感を抱いているんです。

もっとも彼らは、どんな社会もそれぞれ地球の裏っかわと同じ生活をしているはずだ、と思っているようだけど」

 

 

 

 

     仮説、というと大袈裟だが、実は私も、地球の中心をはさんで正確に反対側の地点同士は何か共通のものがあるのではないか、

という仮説のようなものを昔から温めていたのである。

 

 

 

それが裏づけられる思いだったから、大急ぎで地図を調べた。

本当のことをいうと、ボリビアがビルマの反対側にあたるということさえ信じ難かったのだが、

地図でみるとチチカカ湖は西経68~9度、南緯16~7度。

 

 

 

これに対してインレー湖があるというシャン高原の東経は97~8度、北緯が22~3度。

 

 

 

経度の数字がちがうが、これは補角のように180度に対して補完関係にあれば反対側なのだから大体これでいいので、

なるほど地球の中心をはさんで表と裏である。

 

 

 

地球儀で目測でみる限り、ほとんど正確に、足の裏が向かい合う対蹠地にみえるのだ。

 

 

 

大きさはだいぶ違うようだが、この二つの湖で人びとが同じように蘆で舟をつくったり、

浮き島をつくって畠にしたり、その上に住んだりしているのだと思うと、

何となく神秘的で深遠な気分になってくるのである。

 

(略)

 

 

もう十年以上前のことになるが、世界の古代文明の遺跡をくまなく記録しようとする、

『未来への遺産』 というシリーズをつくっているときに、

「もしかすると地球上のあらゆる対蹠地には何らかの共通点があるのではないか」 という私の”仮説”は生まれた。

 

 

 

「巨石との関係」 という回を編集していて、謎の巨石人像モアイが林立する南太平洋の孤島、イースター(バスクァ)島の次に、

世界最大の大仏立像があるアフガニスタンのバーミアンのシーンをつなごうとして、

両者の位置関係を示すために地球儀を回転させたとき、

それが正確に対蹠関係にあることに気づいたからだ。

 

 

 

 いうまでもなく、私は厳粛な気分に襲われた。

世界を代表する二つのユニークな巨石像が、地球の対蹠地に生まれている      

 

 

 

それからの私は、地図と首っぴきで、あらゆる遺跡の”裏っかわ”を調べはじめた。

 

 

 

しかし甘い期待は外れて、なかなかうまく運ばなかったのだ。

たとえば、エジプトのギーザに大ピラミッドやスフィンクスがあるのなら、

その裏っかわにも何かあってしかるべきである。

 

 

 

だが、ギーザの向こう側はオーストラリアのブリスベンとシドニーのあいだ、

ニューイングランド山脈の真ん中で、そこには巨石建造物のかけらもない。

 

 

 

それがもしインカ帝国の首都クスコや、クフ王のそれにまさるとも劣らぬピラミッドのあるマヤのウシュマルでも対応していたら、小躍りするところなのだが、

そううまくはいかなかった。

 

 

 

古代ばかりか、現代文明もシンメトリーにはなっていない。

たとえばニューヨークの対蹠地はモンゴル人民共和国の首都ウランバートルの南、草原と砂漠の境目で、摩天楼の影もかたちもない。

 

 

 

パリの反対側は太平洋のはるか南のなかだし、東京の対蹠地もアルゼンチンの東で、海のなかに落ちる。

 

 

 

かくて、せっかくの私の仮説も色を失ったのだが、

二つの湖が出現したりするところをみると、例外的にうまく立証できる場所もあるらしい。

 

 

 

<人差し指の思いで話>   十年ぐらい前かな、もっと前かな?日本テレビの元女子アナがテレビで話していました。

 

或る番組の打ち合わせの時、年上の男性がOという若手俳優に 「君、加藤茶に似ているね」 と言ったら、

 

そのOがテーブルをひっくり返して帰ってしまったそうです。

(Oって誰なんでしょう?その時は分かりませんでした)

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・昨日、織田祐二がテレビに出ていたので、こんな、どうでもいい話を思い出しました。

 

 

10月9日 中央公園(埼玉・朝霞)にて撮影