大体アメリカという国はわずか二百数十年前は、この地上に存在しなかった。
インディアンの国に白人が一方的に侵入して、散々うそついて勝手な条約作って先住民を追い立て、皆殺しにして、つまりどんどんどんどん侵略戦争で領土を広げてつくった国です。
その上、スペインが先にとっていたアメリカの南西部も、全部アメリカが仕掛けた侵略戦争で奪ったわけです。
だから、日本が侵略戦争をしたなんてよく言えたものだということを、アメリカ文学やアメリカ史の、日本の先生たちが知っていて学生たちにちゃんと教えなければいけないのです。
ところがアメリカのいいところ、羨(うらや)ましいところしか教えず、自分たちもあこがれしか抱いていないわけです。
アメリカに惚(ほ)れ込んで、あばたもえくぼのアメリカ理解なのです。
これからの日本人はアメリカのあばた、イギリスの陰険で狡猾(こうかつ)なところ、フランスの偽善と傲慢(ごうまん)さなど、
これまで日本人が見ようとしなかった点、それを重点的徹底的に勉強しないと、戦後の日本人が陥ってしまった不毛極まる自己卑下、客観的事実に基づかない自虐的自己評価が直らないのです。
「アメリカを知るための英語、アメリカから離れるための英語」
鈴木孝夫(すずき たかお 1926~)
株式会社文芸春秋 2003年7月発行・より
光が丘公園(東京・練馬)2月21日撮影
![空と雲 光が丘公園](https://stat.ameba.jp/user_images/20160306/04/hitosasiyubidesu/1b/02/j/o0567042613585022334.jpg?caw=800)