北の地は 涼やかな夏の終わりを告げる夜風が吹いてます。

虫の声がいくつも重なり合い、

そこに さわさわと風が草原を撫でていく音。

その旋律が夢の入り口に誘うのです。
窓からは古い電燈が橙色に畦道を照らし出しているのが見えて 

それが現実なのか もう夢の中なのか。

まどろみの狭間を 私は歩いていきました。


さっき夜だと思っていた空は 白いモクモクとした夏雲と青とで明るく彩られています。

田園風景は どこまでも広がって 緑が目に痛いほど 眩しい。







そのとき あなたがその中に立っているのが見えました。

「あなたが百年後においで、と言ったから 逢いに来たの。」
私がそう叫んだら あなたが微笑んで
緑の海原を泳ぐように こちらに歩いてきました。

もう・・・すこし・・・

伸ばした私の手を あなたの手が優しく包んだ、そう思った時

 突然田園風景が一変し、深い森の中に迷い込んでしまったのです。

いつ離してしまったのでしょう。あなたの手はもう無くて

森の迷路を あなたの言の葉が点々と道標になって 私を誘うのです。






この夢から醒めることはできないのかもしれない。

百年の眠りは醒めることなく 永久にあなたの言の葉のラビリンスに陥ってしまう。





追いかけても 追いかけても

あなたの背中は 遠くて・・・
ぐるぐると時計の針だけが廻って 私は一体どこを彷徨っているの?

あなたはどこへいってしまったの?







さわさわと風の音が冷たく身体を包んで

はっと目覚めました。
窓の外は橙色の電燈が田の畦道を照らしています。



「百年たったら帰っておいで 百年たてば その意味わかる」

遠くで あなたの声が聞こえたような気がしました。


いつか あなたと手をとりながら 田園を歩くことができるのでしょうか。

それは もう醒めることのない永遠のときなのでしょうか。

それでも あなたの言の葉の道標に翻弄され、苦しいほど迷っていたい、

そんな衝動に駆られるのです。





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青森三沢市は寺山修司の故郷。
そこにある寺山修司記念館へ行ってきました。

あの奇想天外な寺山ワールドにいつの頃から取り憑かれてしまったのか。

今回記念館の裏の森へ足を伸ばしました。

寺山修司の歌碑があるとのことで、そこまでの森の道に 彼の短歌が点々と道標になってあるのです。

その言の葉に胸がときめいたり ざわついたり。

ヤバい、寺山ワールドにはまってゆく。

寝ても覚めても・・・






明日もみなさんにひとさじのはっぴーが訪れますように♪