ソロモン王の知恵 その1
「ソロモン王が位についてまもなくのことである。
ある晩、王がエホバの祭壇にうやうやしく供物をささげてから床につくと、夢の中にエホバがあらわれて、
「ソロモンよ、おまえの望みをなんでもかなえてやろう。さあ、いってごらん」
と、おっしゃった。そこで、ソロモンは答えた。
「あなたはわたくしの父ダビデにたいして、大きないつくしみをお示しになった上に、今度はまたこのわたくしを選んでイスラエルの王位につかせて下さいました。でも、わたくしはまだ若くて、どうやってこの国を治めたらよいかわかりません。どうか、神よ、正しく民を導けるよう、わたくしにすぐれた知恵をおさずけ下さい。」
するとエホバはお喜びになって、おっしゃった。
「おまえが長生きや富をねがわず、民をみちびく知恵をもとめたのは、感心じゃ。ではおまえに、だれもならぶ者のない知恵をあたえよう。また、おまえがわたしの掟と命令を守るならば、おまえのもとめなかった富と名誉と長命をもあたえようぞ。」
こうしてソロモン王は、神からさずけられた世にもすぐれた知恵で、父のダビデが武力で国をおさめたのとはちがい、平和のうちに国をおさめた。その知恵ははかり知れないほどのものだったため、遠い国々からも、例えばシバの女王のように王を訪ねてくる者があり、後の世までも、「ソロモンの知恵」として語り伝えられた。」
「聖書物語・旧約物語」山室静著より
感想
>ソロモン王が位についてまもなくのことである。
まず、ソロモンが王になる所を抜き書きしてみよう。
「32 ダビデは言った、「祭司ザドクと、預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤをわたしの所に呼びなさい」。やがて彼らは王の前にきた。
33 王は彼らに言った、「あなたがたの主君の家来たちを連れ、わが子ソロモンをわたしの橿馬に乗せ、彼を導いてギホンに下り、
34 その所で祭司ザドクと預言者ナタンは彼に油を注いでイスラエルの王としなさい。そしてラッパを吹いて、『ソロモン王万歳』と言いなさい。
35 それから、あなたがたは彼に従って上ってきなさい。彼はきて、わたしの位に座し、わたしに代って王となるであろう。わたしは彼を立ててイスラエルとユダの上に主君とする」。
36 エホヤダの子ベナヤは王に答えて言った、「アァメン、願わくは、王わが主君の神、主もまたそう仰せられますように。
37 願わくは、主が王わが主君と共におられたように、ソロモンと共におられて、その位をわが主君ダビデ王の位よりも大きくせられますように」。
38 そこで祭司ザドクと預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとは下って行って、ソロモンをダビデ王の橿馬に乗せ、彼をギホンに導いて行った。
39 祭司ザドクは幕屋から油の角を取ってきて、ソロモンに油を注いだ。そしてラッパを吹き鳴らし、民は皆「ソロモン王万歳」と言った。
40 民はみな彼に従って上り、笛を吹いて大いに喜び祝った。地は彼らの声で裂けるばかりであった。」
「列王紀上」第1章32節~40節
>その所で祭司ザドクと預言者ナタンは彼に油を注いでイスラエルの王としなさい。そしてラッパを吹いて、『ソロモン王万歳』と言いなさい。
関係ないけど、かわいいから貼っておこう。https://www.instagram.com/p/Brj706VhUNU/
>ある晩、王がエホバの祭壇にうやうやしく供物をささげてから床につくと、夢の中にエホバがあらわれて、
「ソロモンよ、おまえの望みをなんでもかなえてやろう。さあ、いってごらん」
と、おっしゃった。
これも原文を挙げてみよう。
「5 ギベオンで主は夜の夢にソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。
6 ソロモンは言った、「あなたのしもべであるわたしの父ダビデがあなたに対して誠実と公義と真心とをもって、あなたの前に歩んだので、あなたは大いなるいつくしみを彼に示されました。またあなたは彼のために、この大いなるいつくしみをたくわえて、今日、彼の位に座する子を授けられました。
7 わが神、主よ、あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代って王とならせられました。しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。
8 かつ、しもべはあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります。
9 それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。
10 ソロモンはこの事を求めたので、そのことが主のみこころにかなった。
11 そこで神は彼に言われた、「あなたはこの事を求めて、自分のために長命を求めず、また自分のために富を求めず、また自分の敵の命をも求めず、ただ訴えをききわける知恵を求めたゆえに、
12 見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。あなたの先にはあなたに並ぶ者がなく、あなたの後にもあなたに並ぶ者は起らないであろう。
13 わたしはまたあなたの求めないもの、すなわち富と誉をもあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちのうちにあなたに並ぶ者はないであろう。
14 もしあなたが、あなたの父ダビデの歩んだように、わたしの道に歩んで、わたしの定めと命令とを守るならば、わたしはあなたの日を長くするであろう」。
15 ソロモンが目をさましてみると、それは夢であった。そこで彼はエルサレムへ行き、主の契約の箱の前に立って§祭と酬恩祭をささげ、すべての家来のために祝宴を設けた。」
「列王紀上」第3章5節~15節
>しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。
8 かつ、しもべはあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります。
自分はそこらにいる人と何ら変わらないという事が言いたいらしい。普通は、王になんかなると権力を振るう事とか贅沢をする事とかをまず考えると思うが、国民の幸せを第一に考える人なのかな。そうじゃなくても謙虚である事は間違いないだろう。
>9 それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。
「終わりの時」に現われる「真理の御霊」(契約の使者)に通じるものがある。
「わたしは自分の栄光を求めてはいない。それを求めるかたが別にある。そのかたは、またさばくかたである。」
「ヨハネによる福音書」第8章50節(口語訳)
「08:50わたしは、自分の栄光は求めていない。わたしの栄光を求め、裁きをなさる方が、ほかにおられる。」
「ヨハネによる福音書」第8章50節(新共同訳)
念のため、「わたし」とはイエス・キリストの事である。つまり、イエスの栄光を求める者が、「さばくかた」(裁きをなさる方)である。
「けれども真理の御霊(みたま)が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう。それは自分から語るのではなく、その聞くところを語り、きたるべき事をあなたがたに知らせるであろう。
御霊はわたしに栄光を得させるであろう。わたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるからである。」
「ヨハネによる福音書」第16章13節~14節
つまり、「さばくかた」(裁きをなさる方)は「イエスに栄光を得させる」真理の御霊(契約の使者)である。ついでに、どういう人物か推理すると、
「18 耳しいよ、聞け。目しいよ、目を注いで見よ。
19 だれか、わがしもべのほかに目しいがあるか。だれか、わがつかわす使者のような耳しいがあるか。だれか、わが献身者のような目しいがあるか。だれか、主のしもべのような目しいがあるか。
20 彼は多くの事を見ても認めず、耳を開いても聞かない。
21 主はおのれの義のために、その教を大いなるものとし、かつ光栄あるものとすることを喜ばれた。」
「イザヤ書」第42章6節~9節
から、相当現実離れした人物のようである。本当にそんな人物が現われるのだろうか。
「1 わたしの支持するわがしもべ、わたしの喜ぶわが選び人を見よ。わたしはわが霊を彼に与えた。彼はもろもろの国びとに道をしめす。
2 彼は叫ぶことなく、声をあげることなく、その声をちまたに聞えさせず、
3 また傷ついた葦を折ることなく、ほのぐらい灯心を消すことなく、真実をもって道をしめす。
4 彼は衰えず、落胆せず、ついに道を地に確立する。海沿いの国々はその教を待ち望む。」
「イザヤ書」第42章1節~4節
おまけ