アニマル カルス その2
「キメラマウスが生まれるためには、まず初期胚とスフェア細胞が融合してくれなければならない。キメラマウスを作製する過程で、他の細胞と融合した初期胚のことをキメラ胚と呼ぶ。若山先生が顕微鏡下で初期胚に細い針でスフェア細胞を入れる注入法の他にも、初期胚とスフェア細胞を一緒に小さなくぼみに沈め物理的に接させる凝集法も試してくださったお蔭で、スフェアは予想以上に初期胚とうまく融合してくれた。作製されたキメラ胚は十数個ずつに分けられ、キメラ胚の発生段階に応じて、あらかじめ用意されていた移植した初期胚が着床できる状態になっている(偽妊娠した)お母さんマウスの卵管か子宮に移植される。ウシなどの大動物のキメラ実験においては、キメラ胚の作製率がキメラ実験の実験成果として発表される事も多い。そのため、キメラ胚が状態よく作製できたことは、生まれてくるキメラマウスの結果にも期待を持たせてくれた。
しかし、2日にわたって初期胚を作製し、お母さんマウスに移植まで行っていただいた1回目のキメラ実験では、移植直前にトラブルに見舞われ移植ができなくなってしまった初期胚や移植後の妊娠自体がうまくいかなかったものもあり、予想されていたよりも生まれてきたマウスの数は少なくなってしまった。期待していた結果は、どうにか無事に生まれてきてくれた2日間の実験の合計35匹中の1匹のマウスのほんの一部の皮膚にGFPの蛍光発色が確認されたのみで、残念ながら論文で見るようなパンダ状の立派なキメラはできてこなかった。
この結果を受けて2回目のキメラ実験は、若山先生がスフェア細胞の運搬方法などの改善点を具体的に指示してくださり、万全の準備を整えてから行うことになった。この回の実験は3日連続で行われ、1回目の実験よりさらに多くの卵(初期胚)と移植用の偽妊娠したお母さんマウスを用意してくださっていた。採取された時から状態が悪い卵や実験の過程で死んでしまう卵もあるので、用意された卵がすべて実験に使用できるわけではないのだが、3日間の実験で作製されたキメラ胚は160個以上に及んだ。」
「あの日」小保方晴子著より
感想
>若山先生が顕微鏡下で初期胚に細い針でスフェア細胞を入れる注入法の他にも、初期胚とスフェア細胞を一緒に小さなくぼみに沈め物理的に接させる凝集法も試してくださったお蔭で、スフェアは予想以上に初期胚とうまく融合してくれた。
前半はテレビなどでよく見るクローンの作製方法だね。(多分。)それ以外にも凝集法なんてあるんだね。さすが専門家。勉強になりました。
>キメラ胚の作製率がキメラ実験の実験成果として発表される事も多い。
小保方さんが記者会見でSTAP細胞の作製に200回以上成功したと述べて、後にマスコミに嘘だと言われていたけど、ちょっと違った(彼らの)定義があって嘘をついているつもりはないと思うよ。
>期待していた結果は、どうにか無事に生まれてきてくれた2日間の実験の合計35匹中の1匹のマウスのほんの一部の皮膚にGFPの蛍光発色が確認されたのみで、残念ながら論文で見るようなパンダ状の立派なキメラはできてこなかった。
ここで0じゃない所がいいね。0だったら机上の空論と思いがちだが、たった1匹にしかも物凄く中途半端な結果でも具体的な変化が出ているんだからね。それにしても、若山さんも立ち上げから参加していてこんな事はES細胞を使っていたらならないぐらい分かっているのに、もう小保方さんを信じられなくなりましたなんて記者会見して社会人失格ですな。(自分のメンツがそんなに大事なのかな。)
>この結果を受けて2回目のキメラ実験は、若山先生がスフェア細胞の運搬方法などの改善点を具体的に指示してくださり、万全の準備を整えてから行うことになった。
しかし、若山教授は天才だからこの人の力がなかったらSTAP細胞が世に出ていなかった事だけは確かだね。(だから論文取り消しを言い出すのはある意味当然かもしれない。)小保方さんの再現実験失敗は色々な規制のせいもあるだろうが、この人がいなくなったのもやはり大きいんだろうね。(再現実験の事はまだ読んでいないので前後関係とか全く知らない。)
おまけ