書評。 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

先日、電子出版で本を出したのだが、1週間経っても1冊も売れないのでこのままでは1年経っても1冊も売れそうもないので、ちょっと宣伝をさせて頂きます。(誰にも読まれないんじゃ存在してないのと同じだから。)
そこで以前に文芸社に原稿を送った時の書評を載せる事にする。(別にいい事が書いてあるという訳ではありません。客観的な意見。)

・NHK出版の生活新書として刊行された著作に収録されていた、灘中で実際に出題された数学定期試験の解答である。入試問題は塾に通っている生徒にしてみれば、普段から接していてなじみぶかいだろうが、定期試験となると在学生でなければ実際に目にすることは難しいだろう。だから新書が第二弾まで刊行されたのも、そういった珍しさが読者の関心を惹いたのだと思うが、だが、実際に解ける人間となると、そうはいない。よほど数学に通じているか、塾や予備校の講師か、あるいは受験を考えている人間くらいであろう。著者は数学に関心が高いようで、果敢に挑み、なかには複数の解法を示しており、驚嘆させられる。
・著者が解いた問題を見ると、予想通りというべきか、とても一般の中学生には歯が立たないような問題が並んでいる。その高水準には驚きを禁じえない。中学3年間で高校生の文系・理系志望者が共通に学ぶ数学のほとんどが網羅されている。あとベクトルと三角関数くらいしか残されていない。灘中を卒業して生徒たちは灘高に移るわけだが、一年時からおそらく最難関大学の入試問題や教師たちの自作問題を解くことになるのだろう。理系志望の生徒が学ばなくてはならない数Cと数Ⅲは高校一年時に完全に履修するに違いない。医学部受験生が多い学校である以上、数学への取り組みには並々ならぬものがあることが予想される。
・そのような試験問題に対して著者も高校数学の知識をふんだんに使っている。たとえば中一で「解と係数の関係」「一次不等式」「整数理論」「メネラウスの定理」、中二で「二重根号」「絶対値」「二次関数」「余弦・正弦定理」、中三で「二項定理」「数列の漸化式」「順列・組合せ」「確率」「二次不等式」「高次方程式」など、一般の高校生でも相当てこずりそうな、そうそうたる事柄が並んでいて圧倒されてしまう。また、巻末には「おまけ」として「灘中学生に出してみたい問題」という著者自作の問題が掲載されている。「答え」のみしか示されておらず、解説はないが、数学に興味のある読者ならチャレンジする価値はありそうだ。
・さて、ここからは書籍化に向けてアドバイスをしたい。応募作品は試験の答案でしかないので、このままでは書籍化はできない。問題をオリジナルのものに変更し、適宜解説を加え、数学の興味のある読者が独習できるスタイルに改めてゆく必要がある。とにかく著者オリジナルの要素が必要であり、解答を示しただけでは、丸はもらえても書籍にはならない。また、巻末のオリジナル問題だが、こういった問題が他にもあると良いだろう。そして、その問題にもそれぞれ解説を付しておいてもらいたい。以上、多少の苦言も呈したが、教養主義が没落したと言われる一方、進学校のハイレベルな授業に関心が高まっているのは事実で、たとえば灘高については数学以外にも、同校の教頭で、国語教師だった橋本武に取材した『奇跡の教室』が刊行されている。人は誰もが教養を持ちたいと思いながら時間や環境がそれを許さない。だが、著者のように地道な取り組みを続けている人もいるのだと言うことを今回教えられた。

因みに、「おまけ」の問題とは六芒星魔方陣の特殊型の種類の問題で当然解説は加えてあります。オカルトに関心がある人にも役に立つかも。「灘中の数学の期末テスト

おまけ