☆本プロからの移行☆  2002/12/12 読了


全三篇。
初めての読む乙一作品。今まで読んでみたかったんだけど、初めてのものがあまりピンとこないと同じ作者のはたぶん読まなくなるだろうから慎重に選んでみた。

「Calling You」
友達のいない孤独な少女。学校中で携帯電話を持っていないのはたぶん自分だけ・・本当は自分も欲しい。でも持ったところで誰からもかかってくる筈もない。携帯への思いが段々つのり自分の持ちたい携帯の姿を頭の中で何度も繰り返し描いているある日頭の中の携帯が鳴り出す。見知らぬ少年からの電話だった。自分の妄想かと心配するが、現実だと解り次第に仲良くなっていく。

「傷」
知能に障害を持つ子供や性格に問題がある生徒を集めた特殊クラス。そこに家庭に事情を抱えるオレとアサトがいた。自分達は必要とされていないと感じ未来に希望をもてない、今の世界に絶望していた二人はある日を堺に仲良くなる。小柄で大人しいアサトは他人の傷を自分に移動させる能力を持っていた。そして怪我をした小さな子供を救い自分がその痛みを背負うようになる。

「華歌」
入院している私。列車事故により恋人を失い生きる気力をなくしている。ある日散歩の途中で変わった花を見つける。つぼみの中に少女の顔がありハミングしているのだ。それを持ち帰り病室の三人で他人に隠しながら自分達の癒しになっていく。

「華歌」は大変良かった。内容というよりも、
最後の最後で「え???!!!!」という衝撃があり、全てのことが繋がる不思議で上手い短編だった。

「傷」は二人の少年の、想像すると辛くて辛くて仕方ない心の闇が苦しい。今まで一人ぼっちだった二人が心通わせ寄り添っている様子が切ない。でもラストの台詞「二人で半分こ、傷の深さも半分、痛みも半分だ」「この世界に痛みを分かち合う奴がいたということを覚えていてほしい。」に涙があふれた。切ない物語であったが少しでも癒され希望を持てるようになったのが嬉しい。