「絵本作家進藤宏は『パパといっしょに』の出版以来スランプで副業のフリーライターで現在過ごしている。妻とは別居中、仕事は垂れ流しのような自分の名前の出ない仕事ばかり。そんな中新しい編集の担当シマちゃんと出会い、様々な仕事の中で出会った人との触れ合い、そして自分の内面を見つめさせられる。」
重松さんらしい、どこか寂しい投げやりな中年男性の悲哀たっぷりの連作短編集でした。
仕事も家族も中途半端。進藤本人は特段問題がある性格でもないのだけれど、何となくパッキリしていない。
出会う人たちも何かを抱えて、立ち止まったり後戻りしたりしつつも少しずつ前に進んでいこうというのが心地よいのだけれど・・でもひとりぼっちになってしまうラストが悲しい。
もちろん先にはいいこともあれば悪いこともあって、そう悲観しなくても明日へ繋いでいく気持ちさえあれば、きっと何かが変わっていく。でも・・やっぱり全体的にこの作品は寂しくて哀しい。
たぶん進藤と同年代の男性が読むと共感したりできる部分もあるのでしょうけど・・決していつも明るいストーリーではないのだけれど、今までの重松作品よりは若干重めな印象でした。
中で一番好みだったのは「虹の見つけ方」
ある時代のヒットメーカー作曲家が現在はもう過去の人。周りも本人もそれを承知している。
これとてもリアルで切ないんだけれど、後味爽やか、そしてウルウルってくるよさもあり好きでしたね~。
次回はもっとスッキリした読後感の重松作品期待しています。
