久しぶりの更新です。
私事忙しすぎて、全くブログを書けていませんでしたが、最近セッションした方々のほとんどが...偶然にも、出生図のアングル(アセンダント、ディセンダント、IC、MC)に土星をお持ちの方、今まさに、トランジットの土星が、アングルや太陽、月、といったライツに重なる方、またご自分のライツやアングルに土星を乗せてくる方とのご縁について考えている方ばかりでしたので、土星について少し書いておこうかと思いました。(セッションのお時間内では、詳しくお伝えしそびれているかも...ということで)
 

 

土星はギリシャ神話における時の神クロノスに対応します。古典占星術では「マレフィック」と呼ばれ、長く、禍の星、カルマの星と恐れられてきましたが、時代は変わり、平均寿命も伸び、土星に対する大衆の意識も、占術家の意識も変わっています。

イギリスの心理占星家であるリズ・グリーンは、「土星は、苦痛と限界をもたらす者として偽装した『偉大なる教師』と述べています。肉眼で確認できる最遠の天体であることから、出生図での土星の位置は、肉体存在としての私たちの最終達成地として読むこともあります。

ホロスコープでの土星は、主に、試練、制限、課題、ルール、権威を表し、コツコツと時間をかけた真面目なコミットメントや責任を要求します。逃げずに取り組むことで、社会的な大人としての自覚や節度、習熟や成熟、安定感をもたらします。土星は私たちを安全に囲う、枠組み、壁、土台、基盤、堅牢な守り手でもあるのです。

土星の厳しい課題を淡々とこなし、時間をかけて練り上げ、築き上げてきたものこそが、現世的な物質世界で通用する自信や信用を確立させていきます。
土星は、この地上での「具現化の大ボス」しっかりと時間をかけて土星の課題をこなしていけば、必ず何事かを成し遂げられるというわけです。

トランジットの土星は、私たちのライフステージの様々な側面で、これまでの枠組みに揺さぶりをかけ、これからのための補強を行う厳しい守り手としての役割があります
土星の公転周期である約30年ごとに、私たちの生活や生き方の構造を見直す大きなメンテナンスを、また7年ごとに小さなメンテナンスを行います。

相性での土星は、相手を仕切ったり、方向性を絞ったり、制限や課題を設けたり、責任ある関係として機能します。ですから、結婚やビジネスパートナー、師弟など、重要な長期にわたるご縁や安定が望まれるご縁には、むしろ必要な接着剤となります。無駄な関係を広げすぎずに、ワタクシにだけコミットしてねと働きかけることで、相手との関係を固定化し成熟させるというわけです。

ご自身の出生図内でのアングルやライツへのネイタル土星の合は、若年期から鍛えられている印象です。心理的抑圧や疎外感、両親や年長者への苦手意識、課題や重圧感、ストイックさや禁欲主義という出方をする場合もありますが、年齢を重ねながら真面目な取り組みや努力を続けざるを得ない境遇で、自分を錬磨しながら成熟していく人が多いでしょう。

土星は抑うつや孤独も表します。重い重石の下で、人は自分の限界を知ります。精神的な苦悩、病気といった肉体の限界を認識しながらも、さらに限界を広げる挑戦を推し進め、限界値を伸ばしていく人、ひとり自分自身と向き合うことで、知恵を蓄え老練な気骨を醸造していく人もいます。また、限界を知ることで、いい意味で自分の分を知り、もう機能しなくなった不要なものを、時には諦め、握りしめていたものを手放し、スリムになった自分で、そこに今の自分に合ったあらたな安定を築き上げる場合もあります。(土星の枠の組み替え)
もちろん、しんどさに耐えきれなくなって、これまで積み上げてきたものを捨ててしまうこともあります。そもそもトランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の影響の強い方は、土星の枠に収まりきらず、土星の枠を飛び越え、あまり現実的でない自由を求める傾向や高次元の思考を持つ方もいます。

しかし、挫折そのものの中に挫折はなく、絶望の中にこそ挫折はあるのではないでしょうか。
人それぞれの生き様に、それぞれにしかないドラマがあり、私にとっては、そのどれもが素敵だと思えます。
人は時に、成功よりも失敗から多くを学びます。


土星のトランジットは、点検、整備、補修、修正、強化。
必ずしも具体的な出来事が起こるわけではないのですが、断捨離、離婚、縁切りなどといったリセットやリスタート、結婚、昇進、出産、起業、家の購入などといった社会的責任を伴う新しい人生の門出、病気、鬱、失職、介護などの問題事を抱えながら自分自身を見つめ直し、課題に向き合う時期となったりすることが多いように感じます。長期的な展望について思いを巡らす契機となり、ライフスタイルの変化を伴いやすいのです。
生老病死、出産も祝儀も葬儀も等しく、それぞれのライフステージの主要なイベントです。その一つ一つに、人生の不思議を見ます。


土星のトランジットを経て、さらに継続させられるものが、その後のそれぞれの人生の中で価値あるものとして残っていく。その真価は自分で決めます。
そこに、自信も信用も実績も積み重なっていくものなのでしょう。