キロン(カイロン)は、土星と天王星の間に独特な軌道を持つ小惑星(元は彗星であったとも)1977年に発見され、ギリシャ神話のケンタウロス、ケイローンにちなんで名付けられました。
土星と天王星の架け橋です。
占星術とも深い関わりがあり、アウトサイダー、異端者の異名も持ちます。
人類が土星までの世界しか認識できなかった時代、天空の星を読み、土星以遠の星の出現(発見)を予見していた占術師たちは、時代の異端者だったことでしょう。

ホロスコープでの出生図のキロンは、コンプレックスや深い心の傷、そのサインやハウスへの抵抗感、恐怖心などと読んだりします。周囲から見ると全く見えない本人の頑なな思い込み、マインドブロック、魂の痛みなどとして感じられる場合もありますし、繊細すぎる感性や不思議な共感力として見られることもあります。

キロンは癒しの星「傷ついた癒し手」です。
半人半馬の神ケイローンは、自らも傷ついた存在。だからこそ、他者の痛みを深く理解し、その傷を癒すことに取り組みました。

コンプレックスや傷も、自分らしさの要素、オリジナリティですね。ただ、傷ついたままで居続けることは、苦悩を味わうばかりの辛い循環となります。キロンの傷を癒していくことは、自分を認め、受け入れ、手当し、自分を表現しながら、より広い境地へ触れていくこと。
いつかどこかで誰かを癒すために背負っている傷、自他を癒す試練、他者への貢献を含む内的成長を促す重要なポイントです。
自身を見つめる視点、自他を見つめる視点。自己理解、自己探究、他者理解、相互救済の意味合いも強いことから、キロンはとても知性的な星でもあるのです。
キロンのしめす傷や痛みととことん向き合い、痛みを味わい尽くしながら辿っていく道のり。個人的な見えざる格闘の軌跡が糧となり、何かしらへと昇華された時、他者をも癒し、傷つく者との仲介者となり得る、慈愛と智慧、友愛のポイントでしょう。
霊的な自身の治癒力の象徴であろうと思います。優秀なガイドやセラピスト、占術師は、キロンが強調されている方が多い印象です。


天空のキロンの位置が、出生図と同じ場所に戻ることを、キロン・リターンと言います。概ね50歳〜51歳ぐらいの頃に、どなたにも起こる星回りです。この時期は、人生の中で心を疼かせてきた様々な問題、心の傷について、自分なりに深い洞察を得られる実りある時期にできます。年齢を重ねていく肉体存在としての有限性を感じ始め、あるがままを受け止める度量や柔軟性、知的理解も深まるでしょうし、他者に語れる余裕が出てきたり、人生の経験を経て、自他を許す意識が湧いてくる方も多いようです。

同時に、キロン・リターンの頃は、プログレスの太陽が、出生図の太陽にセプタイル(51.428度)の角度となります。宿命や運命、強い衝動、神秘的な体験、不思議なことも起こりやすいです。今世での大事なテーマを再び思い出す方や、奇跡のような出会い、最後の宿題を突きつけられるように感じることも。
あるいは手放し、あるいは受け入れ、あるいは翻弄されながらも、私たちは進みます。



キロン・リターンでなくとも、キロンにコンタクトを取るご自身の星周りでは、何かしらの気づきがあるかもしれません。
キロンの象意:心の傷、コンプレックス、アウトサイダー、異端者、仲介者、媒介者、占星術、代替医療、先進医療、環境保護、ヒーリング、セラピー、教師、指導者、霊的進化など



先日、セッションで、もうすぐプログレスの月が、p金星、pキロンとぴったり重なるタイミングの方がいらっしゃいました。男性性を上手に使われている印象の方でしたが、プログレスで女性性の星が全てキロンと重なる、一生に一度しかないタイミング。
なんだかドリーミーで、素敵。なにかしら、大きな女性性の癒しも起こるのではないかなと、この配置を見ていて、私も優しい気持ちになりました。



今朝 6:12頃、天空ではキロンがノード軸、ドラゴンヘッドと重なり、なにか感慨深く...、キロンについて書きました。
東京では2ハウス牡羊座です。次回、同じ配置は2038年10月蟹座です。


それではまた。