1.

今日は秋のお彼岸。

学校は休みだ。

友達が、誘いに来た。

「 町外れの丘へ行こう」


町外れに、丘なんてあったかな。


 

 

2.

ちょっと、待ってよ!

町外れの丘って、どこ?

こっちだよ!

 

 

3.

ほら!と、友達が指差した方角を見ると

白く光る丘があった。

 

 

 

4.

「ほらね!しゃれこうべの丘だよ。」

秋の陽射しを浴びて、白い丘が

ずっと向こうの山まで 続いていた。


「缶けりしようよ!」

 

 

 

5.

友達が、思いっきり缶を蹴ったので

ぼくは、あわてて 駆け出した。

 

 

 

6.

缶が、カラン!と当たると

しゃれこうべは、楽しそうにカラカラと笑った。

 

 

 

7.

僕たちが、缶を蹴る度

明るい笑い声が 丘の上にあふれた。

 

 

 

8.

気がつくと、丘の上は

たくさんの人でいっぱい!

 

 

 

9.

あ、あの女の子・・

いつか病院へお見舞いに行った・・。

あ、あのおじいさん・・

ぼくが小さい頃よく遊んでくれた・・。


みんなの笑い声が、雲の上まで

どんどん、どんどん 昇って行った。

 

 

 

10.

楽しかったね。

そろそろ 家に帰ろうか。

また、今度のお彼岸にね。

 

 

 

11.

空と雲と一日が

オレンジ色に染まって行く。

笑い声が波のように、いつまでも寄せて来る。

 

 

 

12.

帰り道、ふと振り返ると

あれ?

 

 

 

13.

わぁ!

なんだか、遠足みたいだ。

 

 

14.

僕たち

春の お彼岸に、遊びに行くよ。

町外れの丘で・・また、ね。

 

ほら、ちゃんと前を見て!

信号が 変わる前に渡れよ!

 

 

 

15.

春の丘は、きっとタンポポでいっぱい。

 

また、

みんなで缶けりをしようよ!