1. 

ある日、山歩きの途中

不思議な木の家を見つけた。

 

 

 2.

泊まって行ったらいいよ

皆んな 夕方には帰って来るから

 

 

3.

おじいさんとおばあさんの

両手には、新鮮な野菜がいっぱい

 

 

 4.

テーブルにはフワフワのオムライス

出来立てのホカホカ。

 

 

 5.

ゲストルームで どうぞごゆっくり。

窓からお月様がにっこり

 

 

 6.

朝食のあとは

皆んな 仕事へ学校へ

僕たちが帰るまで ゆっくりしていてね。

 

 

 7.

おじいさんとおばあさんは畑仕事

お留守番を お願いします~

私ひとりになってしまった。

 

 

 8.

上がってみると

綺麗に片付いた朝のテーブル

家中に満ちているのは

お茶の香りと木の香り

 

 

 9.

お茶を飲んでのんびり

窓の外では小鳥のさえずり

どこかでお湯の沸く音が聞こえる。

 

 

 10.

目を覚ますと

テーブルには、サンドイッチとミルク

畳まれた洗濯物

誰もいないはずなのに・・。

 

 

 11.

聞いてみた。

ああ、それはね。家がしてくれるんだよ。

お掃除だってしなくても

いつも 綺麗になっているんだ。

 

 

 12.

誰もいないのに

暖かな心配りがされる木の家

ある日、私は階段を

上へ上へ登って行った。

階段は だんだん狭くなる。

花の香りが降って来る。

 


13.

登って行くと

途中にいくつか お部屋があって

明るい光が射し込んでいる。

 

 

14.

やっと、一番上まで辿り着いた。

突き当りに小さな扉

隙間から光が漏れていた。

花の香りが強くなった。

 

 

 15.

小さな扉の向こうで

銀色の髪の人が、一心不乱にやっていること

それは、創ること 営むこと

慈しむこと 磨くこと

降り注ぐ花の房の下で

 

 


16.

立ち去る日 振り返ると

たくさんの花の房が 木の家を
まるで 守るように覆っていた。

あなたの家にも 
妖精は いますか?

それとも・・

それはあなた?