■藤原北家五代目 藤原良房という人


嵯峨天皇に深く信頼されていた藤原冬嗣。

藤原良房はその冬嗣次男である。

嵯峨天皇の娘、源潔姫を妻に迎えた。

吉房19歳であった。


長男ではなく次男が潔姫の夫に選ばれた理由は、良房の持つ、たぐいまれなる気高さ、雅やかさに、

潔姫は恋をしたからだ。

良房はいわゆるイケメンなのだ。

潔姫は父に頼み込んだ。

「良房さまの妻になりたいのです。なんとかしてくださいませ。私は父に頼まれ、臣籍降下し民人となったのですから」父の弱みを責めつつ頼みこんだ。


■藤原良房の目標設定


良房の妹は順子。

順子は嵯峨天皇の子、正良親王の妃。

道康親王を生んでいた。

良房は「将来わたしは天皇の叔父になる。そのために道康を皇太子にする」

と目標設定した。


■課題


しかし、、課題がある。

嵯峨上皇と淳和天皇の父、桓武天皇の遺言内容だ。それは「兄弟間で交互に皇位継承をすること」だった。


良房の子は娘一人で、もう淳和天皇の子に嫁がせる駒はない。

それに兄弟間交互皇位継承となると、時間がかかりすぎて良房が先に死んでしまうかもしれないではないか!

良房は早期目標達成の方法を考えた。


833年 

淳和天皇が譲位し仁明天皇即位。

直系皇位継承ならば、皇太子は

良房の甥、道康となるのだが、、、

だがやはり仁明天皇は、叔父である

淳和上皇の皇子、恒貞親王を皇太子とした。


ところが、

淳和上皇は良房の思いを察して、

「子を皇太子から辞退させたい」

と申し出てきた。良房は喜んだが、

だが、嵯峨上皇に怒り猛反対した。

嵯峨上皇は父を心酔しており、

桓武天皇遺言「兄弟間皇位継承相続」への思いは揺るぎなかった。


■新たな目標設定


842年 嵯峨上皇が崩御

これで、、

目の上のたんこぶがいなくなった。

良房の目標「甥の道康を、早期に皇太子にする」は、もう達成したようなものだった。第一、現在の皇太子っある恒貞親王が皇太子を辞めたがっている。


そこで新たな目標を設定した。

「他の氏と、藤原北家以外の藤原氏を

排除する」だ❗

恒貞皇太子を利用させてもらう。


■天皇は世間知らずが丁度いい


良房は仁明天皇に、

「春宮坊(皇太子政務機関)の官人たちに謀反の動きがあります」

と虚偽の報告をする。


仁明天皇

「そんなこと言われても、

どうすればいいかわからないよ。叔父さんに任すよ」

と良房に一任する。


良房は春宮坊責任者の伴て、その盟友の橘を謀反の疑いで逮捕させた。

恒貞皇太子は、

「こんなことになると思ったから、もっと早く皇太子を辞退したかったのに」

と思いながら、

ただちに天皇に再び辞表を出した。


だが、良房は天皇に「皇太子に罪はない慰留させなさい」と勧めた。

天皇、叔父さんの慈悲深さに感動😢

恒貞皇太子、嫌な予感しかしない😞

そう

これは慈悲ではない。

良房は恒貞皇太子を利用し、ライバルを一掃することを計画していた。


■ライバル一掃作戦決行


1週間後、近衛少将・藤原良相(良房弟)

が、兵を率いて皇太子の居所を包囲。

出仕していた大納言、中納言、参議らを捕らえた。


仁明天皇は伴と橘らを謀反人と断じ、

恒貞親王は事件と無関係としながらも、予想を越える逮捕者が春宮坊から出てしまい、内外に「皇太子に責任を取らせよ」という声が上がった。

仁明天皇は恒貞皇太子を廃した。

春宮坊役人は多数処分された。


藤原良房は大納言に昇進

通康親王は皇太子になる

目標は達成した