いまさら、だけど、映画『トゥモロー・モーニング』のことを。

すでに公開されているけれど、単館公開なので見落とす人もいそう。

ミュージカル・ファンにはお勧め作だし、

機会があったら是非見てほしくって。

 

©Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively
licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan
 

『トゥモロー・モーニング』は同名舞台ミュージカルの映画化。

ロンドンで2013年に初演され、日本でも2016年に初演された作品だ。

それがいま映画化されたのには訳がある。

ロンドンで進んでいた舞台再演企画が、

このコロナ禍で中断され、ならば、と映画化された次第なのだ。

 

ついでながら、日本初演版の出演者は

石井一孝と島田歌穂、田代万里生と新妻聖子の4人。

離婚を翌日に控えるカップルと、結婚前日の若いカップルの話が

並行して描かれる、というミュージカルだ。

 

 で、映画版の主演は、ラミン・カリムルーとサマンサ・バークス。

4人じゃなくて2人になったのは、舞台版を見た人なら見当がつくはず。

そう、2組のカップルは実は同じカップルの

結婚前と結婚10年後の姿なのだ。

 

 舞台だとフツーにやる時空越えや、二人一役(?)も

リアルがベースの映画だと混乱を招きかねないし、

ここは映画の特質を生かした作りで、といったアプローチだろう。

ラミン演じるビル(ウィリアム)とサマンサ演じるキャット(キャサリン)が

出逢い、恋に落ち、結婚し、息子を持ち、

やがてすれ違いが高じて離婚に踏み切ろうとする。

 

©Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively
licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan
 

 そんなストーリーと、折々の二人の感情、葛藤が

フラッシュ・バックやカット・バックで織り込まれ綴られる仕組み。

細かく説明すると、これから見る人の興を削ぐのでやめるけれど、

ヒロインの言う「なにがあっても、この瞬間だけは永遠よ」という

言葉が素敵な重層低音となって、舞台版より

情感的でロマンティックに思える。

 

 ミュージカルだから、もちろん、楽曲は重要ポイント。

映画の脚本もてがけたオリジナルの脚本家にして作詞・作曲家

ローレンス・マーク・ワイスの楽曲は耳に優しくなじむ

きれいなメロディーぞろい。

それ以上に、ラミンとサマンサの歌声の素晴らしく、

ソロもデュエットも聞きほれてしまう。

 

©Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively
licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan
 

 なにしろ、ラミンは『オペラ座の怪人』から『エビータ』『チェス』など

ロンドン・ウエストエンドからブロードウェイ、さらに日本の舞台まで

制覇してきた世界トップクラスのミュージカル・スター。

対するサマンサも映画化版『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役で

脚光を浴び、ミュージカル版『プリティ・ウーマン』のブロードウェイ初演で

主演するなど、目が離せないミュージカル・スターだ。

 

 個人的には、ロンドンの光景も楽しんだ。

それに、主役2人のファッションや家のインテリアも

目の保養。いろいろ見どころが多いのだった。

 

映画配給:セテラ・インターナショナル


12 月16日(金)よりYEBISU GARDENほか全国で公開中