さて、『エリザベート』愛希れいか×山崎育三郎ヴァージョン。

これ、なんだか、とても目新しい感じで、面白かった。

大げさに言えば、『エリザベート』の新局面が拓けた、みたいな、

なんだかすごく現代的な舞台。

 

 愛希れいかのエリザベートは、2019年公演に続いて2度目。

2020年のコロナ休演が残念だったけれど、

もしかしたら愛希エリザにはプラスに働いたかもしれない。

と、思いたい。

 

 愛希、初登場時より自信がついたのか、歌も演技も伸びやか。

もちろん、以前から歌えていたのだけれど、その上をいく感じ。

なにより、キャラクターが新鮮だ。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 端的に言えば、強くて今っぽいエリザ。

どの局面でも強靭な意志がキャラの底にしっかりとある。

だから、ラスト・ソングの歌詞

♪泣いた。笑った。・・・私だけに♪が

本当に自分の人生を思うさま生きたんだなあ、と受け取れる。

 

 耽美なラブ・ストーリーとしての『エリザベート』とはまた異なる、

一人の意志的なヒロインのライフ・ストーリーとしての

色彩を濃くした舞台になっている。

そういう意味では、ウィーンのオリジナル版(初演版)に

近いのかもしれない。

 

『エリザベート』は、1996年の宝塚雪組初演版で、

小池修一郎の潤色と演出を得て耽美的な作品に生まれ変わった。

それは、日本のミュージカル・ファンにとって幸せなことだった

と、強く思う。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 でも、今回、少し耽美色が薄れた印象の愛希版『エリザベート』も

また魅力的だ。

これも、あり、だと思うし、個人的にはすごく好きだ。

まあ、もともと、強いヒロイン・ストーリーが好み、っていうのもあるけれど。

 

 この回のトートは山崎育三郎。

パープルの髪が似合う。やっぱり、ルキーニよりしっくりくる。

当然、歌は文句なしにうまい。

相変わらず伸びのいい、甘めの声に聞きほれる。

で、どことなく、かわいい。

と言うと語弊があるけれど、ちょっと王子様っぽい。

 

 たぶん、組み合わせの妙、というやつ。

花總まりのエリザと組むと、また違うのだろうし。

愛希も古川雄大トートや井上芳雄トートと組むと

また違うのだろう。

舞台って、ほんとナマものだと、つくづく思う。

 

 この回のルキーニは上山竜治。

演技が確かで、とても似合っていたのに、

どうやら喉の調子が悪そうにみえる。気の毒。

実際、、翌日は休演していたっけ。

 

 ルドルフは甲斐翔真。

美しく繊細な皇太子だ。

この役には、次々にキレイで歌える若手が登場。

演出家の審美眼と目配りに、毎度感心してしまう。

 

10月11日(火)ヒル公演観劇

(アップが遅くて、ごめんなさい。)

 

 

11月27日(日)まで、東京・帝国劇場

12月5(月)~12月21日(水)、名古屋・御園座

12月29日(木)~2023年1月3日(火)、大阪・梅田芸術劇場メインホール

2023年1月11日(水)~1月31日(火) 福岡・博多座