やっぱり、最高に楽しかった。

『ヘアスプレー』は大好きなミュージカルなのd

見る前からワクワクしていたのだけれど、

帰りはもうスキップしたいくらい気持ちが弾んでいたのだった。

 

 本来なら2020年に日本初演されるはずがコロナ禍で中止。

復活公演の今回も、初日が遅れたので、

ほんとドキドキしたけれど、絶賛疾走中で良かった、良かった。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 お話の背景は、1962年のアメリカ・ボルティモア。

まだ人種差別がひどかったころだ。

主人公トレイシー(渡辺直美)はぽっちゃり高校生。

ダンスが大好きで、お気に入りのダンスTV番組に出るのが夢。

オーディションに行ったものの、

番組プロデユーサーのヴェルマ(瀬奈じゅん)に

体型だけでNGを出されてしまう。

 

 学校で居残りをさせられたトレイシーは

シーウィード(平間壮一)ら居残り組のブラック・ダンスに

すっかり魅了される、

シーウェイードの母メイベル(エリアンナ)たちとも仲良くなるが、

それは人種差別主義者にとってはゆゆしいことでもあった。

 

 トレイシー同様ビッグサイズの母エドナ(山口祐一郎)と

お茶目で大らかな父(石川禅)に見守られ、背中を押されて

トレイシーはTVの人種差別に反対する行動を起こすのだった。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 人種差別も、外見差別も、LGBTQ差別も、

あらゆる差別や偏見を切りまくる作品だ。

テーマはバリバリ社会派なのに、ドラマも音楽もダンスも

ノリノリの軽やかさ。

めちゃくちゃ楽しくて、頭も心も洗濯してくれるミュージカルだ。

 

 もうね、幕開き、トレイシーがベッドにいるシーンで

思わず拍手しちゃった。やっと見られる!って思い。

で、オープニング曲「グッド・モーニング・ボルティモア」から

ウキウキ、心弾みっぱなし。

テーマ曲でもあるラスト曲「ユー・キャント・ストップ・ザ・ビート」は、

一緒に踊り出したくなるくらい。

このミュージカルの楽曲は全部素敵。無駄ナンバーひとつもなし。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 つくづく思ったのは、渡辺直美がいてくれて良かった!ってこと。

日本上演版でこの役ができる人、他に思いつかない。

ぽっちゃりで、キュートで、明るくポジティブなキャラクターでなくちゃだし、

歌もダンスも上手でなくちゃ、なのだもの。

 

 渡辺直美、ダンスはうまいし、歌声は驚くほど伸びる。

しっかりレッスンを重ねたそうで、歌詞が客席隅々まで明瞭に届く。

リズム感も抜群だし、才能ってあるんだなあ、って感じ。

実はすごい努力の賜物とも聞いているけど。

 

 エドナ役の山口祐一郎、すっごく太めに作っていて、

それだけで笑える。笑えるけど、なんかキレイなままで、

これはいいのかなー?!

ファン的には「いい!」って断言しちゃいそうだけどねー。

夫役の石川禅も楽し気で、いやあ、似合ってる。

 

 トレイシー憧れのリンク役は三浦宏規。ダンスがキレキレ。

そういえば、平間壮一や上口耕平(TV番組司会者役)などなど

ダンスのうまいキャストがそろっている。

トレイシーの友達を演じる清水くるみもいい。

前から思っていたけど、からだの使い方がうまいのだ。

そして、エリアンアの圧倒的な歌声と存在感。

 

 隅々まで堪能したこの舞台、実は黒塗りメイクなし。

オリジナル・スタッフの要請だそうだ。

人種差別を扱ったドラマなのだし、当然の要請だと思う。

登場人物の人種差も、ほとんどの観客は分かるはずだしね。

 

10月2日まで東京・東京建物Brillia HALL

10月7日~10月13日 福岡・博多座

10月23日=11月8日 大阪。梅田芸術劇場メインホール

11月12日~11月20日 名古屋・御園座