今年のトニ賞ノミネートの話、その2。

リバイバル・ミュージカル作品賞にノミネートされたのは

3本だけ。

 

『キャロライン、オア・チェンジ』

『カンパニー』

『ミュージックマン』

 

 コロナ禍に振り回された時期だから、

リバイバル作品が少なかった、ということもあるだろう。

それにしても、この3本、テイストが思い切り異なっているのが面白い。

 

『キャロライン、オア・チェンジ』は2004年ブロードウェイ初演作。

公民権運動が盛り上がりを見せていた1963年のルイジアナ州が背景で、

主人公は白人の家で働く黒人女性キャロライン。

その家の息子は、小銭を入れたまま洗濯物を出すことが、よくあった。

その場合、お金はキャロラインがもらっていいと言われている。、

彼女はそれを使うのに躊躇し続けていたままだったが…。

 

タイトルの「チェンジ」は、普通に「変わる」という意味と

「小銭」の意味の両方。

といえば、展開もなんとなく見当つくかしらん。

 

『カンパニー』はスティーブン・ソンドハイムの作品。

1970年のブロードウェイ初演はハロルド・プリンスの演出だった。

その後もリバイバル上演されていて、

日本初演は1997年。

山口祐一郎の主演、小池修一郎の演出だった。

 

 独身貴族ロバートの35歳の誕生日を祝うため、

友人夫婦や女友達3人が集まる。

彼らとのやりとりのなか、ロバートは結婚について考える。という話。

今回のリバイバル版は、主人公を女性ボビーにしたところがミソ。

このリバイバル版はロンドン発。

 

『ミュージックマン』は1957年ブロードウェイ初演。

主人公は詐欺師。

町々を巡り、音楽教師を名乗って

楽器を売りつけてはドロンするという手口だ。

ところが、ある町で、一人の女性と心を通わせ・・・、。

”古き佳き”という形容詞が似合う温かなミュージカル・コメディ。

 

 今回のリバイバル版は、ヒュー・ジャックマン主演が、最大のウリ。

ヒロインを演じるのはサットン・フォスター。

この二人だもの、素敵なダンス・シーンが多くなるのも当然だろう。

 

 けっこう硬派の社会派作品と、

ジェンダー・コンシャスにアップデートした作品と

ノスタルジックで楽しい作品と。

どれか1本って、選びにくそう。

 

 またまた、Broadway Directのリンクを貼っておきます。

 

Best Revival of a Musical
Caroline, or Change
Company
The Music Man