本来なら、本日2月28日は

ミュージカル『ラ・マンチャの男』の大千穐楽だった。

千穐楽も千穐楽。主演・白鷗さん最後の『ラ・マンチャの男』だった。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 だのに、コロナ禍のせいで、休演になってしまったのだった。

気の毒だし、悲しいし・・・感情の持って行き場がない。

いまごろは日生劇場の客席で、最後の白鷗ラ・マンチャとの

別れを惜しんでいたはずだったのに。

 

『ラ・マンチャの男』は、1965年ブロードウェイ初演作。

1969年には、市川染五郎(当時)主演で日本初演される。

さすがに、これは見てないけれど、

染五郎→幸四郎→白鷗と、見続けてきた。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 この作品、ブロードウェイ・ミュージカル史に残る名作だ。

『ドン・キホーテ』の作者、ミゲル・デ・セルバンテスが主人公。

牢獄に入れられた彼が、囚人たちを巻き込んでお芝居ごっこをする、という話だ。

お芝居の主人公は、アロンソ・キハーナという老人。

キハーナは自分を中世の騎士ドン・キホーテだと思い込み、

お供にサンチョ・パンサを連れて遍歴の旅に出る。

 

 三重構造のドラマだけれど、分かりにくくはない。

セルバンテスの現実、キハーナの現実が、

ドン・キホーテが追い求める理想によって変わっていく、という物語。

理想が現実を変える、という象徴となる人物が

今回、松たか子が演じるアルドンサ=ドルシネアだ。

 

「事実、それは真実の敵なり」

「最も憎むべきは、いまある姿に妥協して、

真実の姿のために闘わないこと」(この台詞、細微が不正確かも)

といった名台詞や、

代表曲「見果てぬ夢」など、胸を打つシーンや楽曲が多々。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 書いているうちに、ますます見たくなった。

千穐楽までの公演中止が発表された日、

東宝の関係者の方から来たメールが忘れられない。

 

「こんな終わり方、気に入らねえな」という牢名主の台詞が

頭の中でなっています。

 

 勝手に引用して、ごめんなさい、Aさん。

でも、まさに、そう。

 

 リベンジ公演できるのを祈りつつ。

ただ、実際には難しいだろうなと嘆きつつ。

でも、なんとかならないものかと願っている。