気分は、もうすっかりクリスマス。

『パ・ラッパン・パン』は、そんな感じの舞台。

 

 このタイトル、いったいなんのこと?って、

最初チラシを見た時は思ったもの。

だって、『PA RUM PUM PUM PUM』って書いているんだもの。

で、ゆっくり脳内でカタカナに変換して読み直したら、

『パ・ラパパンパン』。あ、あれか!となった。

 

撮影:細野晋司

 

 そう、クリスマス・ソングの代表的一曲

『リトル・ドラマー・ボーイ』の歌詞ですね。

キリスト誕生を祝って、貧しい少年が贈り物の代わりに

太鼓を打つという歌詞。「パ。・ラパパン…」は太鼓の音。

すごく古い歌かと思っていたら、1940年代に作られた歌だそう。

 

 と、前置きがやたら長くなったけれど、

舞台『パ・ラパパンパン』は、クリスマス・ストーリーの定番

ディケンズの『クリスマス・キャロル』を題材にした

クリスマス・ミステリー・コメディといった感じのお話。

 

 クリスマス・イヴの日。

小説家の来栖てまり(松たか子)は、初のミステリー執筆に

行き詰っている。

そばで、編集者の浅見鏡太郎(神木隆之介)が

あれこれアイディアを出したり手助けするなかで、

「クリスマス・キャロル殺人事件」の構想が浮かび上がる。

ディケンズの小説の主人公スクルージが殺されて・・

というミステリーだ。

 

 ところが、飲んだお酒のせいか、てまりは意識不明に。

病院に救急搬送され重篤状態のてまり。

けれど、彼女の意識とからだは19世紀末のロンドンにワープ。

まさに「クリスマス・キャロル」の登場人物と共にいながら

事件を解決していく。

 

撮影:細野晋司

 

 松たか子が、やっぱりうまいしチャーミング。

歌声が透明で美しいし。

彼女が歌う「パ・ラパパンパン」で、現代と19世紀ロンドンが

繋がってしまう、というミュージカルっぽい手法。

神木隆之介の演技が洒脱。歌もうまいし、

ちょっこっと見せるダンスのリズム感がすごくいい。

あー、もう、もっとミュージカルやってほしい。

 

 というわけで、クスクス笑いながら

謎解きも楽しめて、クリスマス気分になれる舞台だ。

 

 脚本は、NHKの『カムカム・エヴリバディ』などなどで

売れっ子の藤本有紀。

それを、松尾スズキが演出。ところどころ

松尾節のオフビート感があって、面白い。

 

 出演はほかに、大東駿介、皆川猿時、早見あかり、小松和重、

小日向文世、坂井真紀など。

 

11月29日(日)まで、東京・Bunkamuraシアターコクーン

12月4日(土)~12日(日) 森ノ宮ピロティホール