すでに帝劇公演は千穐楽を迎え、

いまは博多座で上演中の『王家の紋章』。

めちゃくちゃ遅れてしまったけれど、帝劇での観劇記を。

 

 まずは、作品の概要を、一応。

知っている人は知ってるののだけれども(当たり前か)。

原作は、長い長い連載期間を誇る同名少女漫画。

作曲編曲は、『エリザベート』のシルヴェスター・リーヴァイ。

脚本・作詞・演出は荻田浩一。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 

 古代エジプトに魅せられた現代のアメリカ人少女キャロル(神田沙也加/木下晴香)が、

エジプトでの発掘作業中に、3000年前にワープしてしまう。

そこで出逢った若きファラオ・メンフィス(浦井健治/海宝直人)と、

やがて恋に落ちていく。

 

 当然、恋を阻むものが次々に登場する。

メンフィスの姉アイシス(新妻聖子/朝夏まなと)、

エジプトと敵対するヒッタイトの王子イズミル(平方元基/大貫勇輔)、

さらには、3000年の時間。

そう、キャロルは突然、現代に戻っちゃったりするのだね。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 ミュージカル『王家の紋章』は、これで三演目。

すっかりこなれてきた。という以上に、今回なんか

演出がすごく良くなっている。

どこがどうと言える眼力も記憶力もないのだけれど、

展開にメリハリが出て、スピード感も加わり、

かなりドラマティック感が増しているのだ。

荻田演出、頑張っているなあ。と。

 

 メイン数役がWキャストなので、全キャスト制覇はなかなか大変。

というわけで、主役2人、たまたまの組み合わせで見た。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 浦井健治は、メンフィス役を初演以来演じてきているし、

持ち味がこの役にぴったり。

オレ様なのに、ナイーブな少年っぽさがチラ見えする、という。

神田沙也加は、元気なアメリカの少女が、ほんとぴったり。

『キューティー・ブロンド』でも、そうだったっけ。

金髪が似合って、とてもキュートだ。

 

 この回のアイシスは、新妻聖子。以前はキャロルも演じている。

女王らしい存在感の大きさ、強い声で自在に操る歌唱力で、

これが、もう圧倒的。

この1月に『モンティ・パイソンのSPAMALOT』で海の貴婦人を演じ、

舞台全体を牽引していたけれど、そういう器の大きさを

いつのまにやら自分のものにした印象。

 

 他のキャストにも触れたいけれど、

それはまた次の機会に、ということで。