2018年に日本初演されたミュージカル

『ブロードウェイと銃弾』が再演されている。

主演コンビは、初演の城田優×浦井健治から、

今回は城田優×高木雄也に。

メイン・キャストも少し交替している。

 

 で、舞台の出来栄えは、といえば、上々。

初演よりテンポが良くなり、かなりこなれた感じだ。

理由はいくつかあるけど、それは後述。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 まずは、作品について。

原作は、ウディ・アレンの同名映画(94)。

アレン自ら脚本を手がけ、

ジャズをはじめ既存曲で紡いだミュージカルだ。

2014年にブロードウェイで初演。

振付は、『プロデューサーズ』などのスーザン・ストローマンで、

彼女のオリジナル振付は日本版でも踏襲されている。

 

  物語の舞台は、禁酒法時代のニューヨーク。

脚本家のデビッド(高木雄也)は、ようやく自分の脚本が

自分の演出で上演されるチャンスを得る。

ただし、プロデューサー(加治将樹)から出された条件がひとつ。

資金を提供するギャングのボス、ニック(橋本さとし)の

愛人オリーブ(平野綾)をキャスティングすること。

 

 ボスにオリーブの監視役を命じられた

チーチ(城田優)は、稽古に立ち会ううちに

脚本の欠点をデビッドに指摘し始める。

これが的確で、芝居はどんどん良くなっていく。

ただし、オリーブのドヘタ演技は成長の兆しもなく

チーチはイラつかされている。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 一方、デビッドはエレン(愛加あゆ)という恋人がいながら、

大女優ヘレン(瀬奈じゅん)の誘惑に翻弄される。

日々太り続ける主演男優(鈴木壮麻)や

愛犬ファーストの女優(保坂知寿)らに振り回されつつも、

舞台は無事にトラウアウトに漕ぎ着ける。

 

 その後には、驚きと爆笑のドンデン返しと、

ほのぼのヒューマンなラストが待っている。

 

 今回の舞台がぐんとこなれた要因のひとつは、

城田優が余裕をもって役になじんでいること。

初演のときから良かったんだけど、

アニメ声オリーブのマネだとか、テンポを削がない程度に

伸び伸びと演じているし、なんたってダンスがうまくなった。

チーチとギャングたちのタップ・シーンの、なんともカッコいいこと!

 

写真提供:東宝演劇部

 

 もうひとつ特筆したいのが、新たにニック役に入った

橋本さとしの存在。

歌はうまいし、黙ってキメてればシブいし、

でもって、コメディセンスがバツグン。

弾けるけれどやり過ぎず、間合いがいい。

「劇団☆新感線」出身だものな~と思ったりもする。

 

 デビッド役の高木雄也は「Hey! Say! JUMP」のメンバー。

すでに単独での舞台経験もある。

おっとりとナイーブな雰囲気が、巻き込まれ型キャラにぴったり。

チーチはじめ周囲に振り回されるオタオタ感が愛らしい。

ミュージカル巧者勢揃いのキャストのなかでもまれて、、

これからが楽しみ。

 

 続投組、みんな、さすが!だけれど、

おばかキャラを振り切って演じている

平野綾がすごくかわいい。歌もダンスもいいし。

プロデューサー役の加治将樹が、なんだか

すごくうまくなっていて、さりげなく要所を締めている。

 

 華やかで楽しくて、これぞミュージカル・コメディ!と納得の舞台。

なんだか鬱陶しいことも全部忘れてしまうひとときだ。

演出は福田雄一。

 

製作:東宝/ワタナベエンターテインメント

 

5月30日(日)まで、東京・日生劇場

6月4日以降、兵庫、富山、群馬で巡演予定。