いやあ、予想を超えてきた。

正直、どんなものができるのやら…と心配もしてたのだ。

それが、ミュージカル仕立ての、面白い舞台になってて、

かなりノリノリで楽しんでしまった。

 

 あ、「両国花錦闘士」のことです。

これで、「りょうごく おしゃれ りきし」読ませる。

 

迫力(?)の土俵も

©2020『両国花錦闘士』【撮影:田中亜紀】

 

 物語の背景は、もちろん両国。

昇龍(原嘉孝)は、いわゆるソップ型力士。

そして、力士には惜しい(失礼!)イケメン。

筋肉質のボディを誇り「デブは嫌いだ」と公言している。

ライバルの雪乃童(大鶴佐助)は、あんこ型力士。

丸くて大きなボディで、いい勝負をする。

 

 ライバル同士の二人を追うのが、相撲雑誌の

記者、橋谷淳子(大原櫻子)。

野球好きで入社した雑誌社内で、全く興味のない

相撲雑誌に配属され、ブーたれながら

素人丸出しの取材を続けている。

 

相撲嫌いの相撲記者(大原櫻子)

c2020『両国花錦闘士』【撮影:田中亜紀

 

 力士とはいえ、素顔はみんなフツーの青年。

クラブにも行きたいし、女の子にもモテたい。

そんなギャップが可笑しい力士像、というか、

いちジャンルの青春像がつづられていく。

 

 のだけれど、そこにアイドル帝国を仕切る女王

渡部桜子(りょう)が乱入し、

昇龍を誘惑し始めたところから、

事態は混乱の一途へ。

 

弾けまくる女王・桜子(りょう)

c2020『両国花錦闘士』【撮影:田中亜紀

 

 と、けっこうスラプスティック・コメディ。

で、もう、のっけからミュージカル。

画像でお見せできないのが残念だけど、

ふっくら、ぽっちゃり、たっぷりのお相撲さんたちが

勢ぞろいしての群舞なんて、

笑っちゃうくらい壮観。

お肉ぷるぷるでキレッキレのダンスしたりするし。

 

 ケレンだらけのミュージカル。

でも、ちゃんと青春群像ドラマにもなってて、

作。演出の青木豪、やっぱうまいな、と思う。

ちなみに、主題歌はデーモン閣下。

 

雪乃童(大鶴佐助)とおかみさん(紺野美沙子)

c2020『両国花錦闘士』【撮影:田中亜紀】

 

 これ、岡野玲子の原作漫画の舞台化だ。

実は、原作漫画は雑誌連載時に読んでいた。

若・貴人気もあって、相撲大人気、スー女激増の頃。

それが、30年を過ぎて舞台化されるとは思わなかった。

 

 なんでも、相撲好きのプロデューサーがいたせいらしい。

そうそう、この舞台、東宝とヴィレッヂと明治座の

若手プロデューがが手を組んで作り上げたもの。

毛色の異なる3社の、半分ライバル同士の人材が

組んだ、異業種格闘技、みたいな。

 

 東宝の華麗なロマンスと、

ヴィレッヂの劇団☆新感線けれんパワーと

明治座のしっとり人情ドラマが

混然一体となって生まれたエンターテインメント。

当該プロデューサー3氏は、「三銃士」と称して、

新企画を第2弾、3弾を打ち出していく予定だそう。

新しい風に、期待!

 

12月23日(木)まで、東京・明治座

2021年1月5日(火)~13日(水)まで、大阪・新歌舞伎座

2021年1月17日(日)~28日(木)まで、福岡・博多座