ニューヨーク・マンハッタン。

いま現在は静まり返っているけれど、

本来は多彩な人種、さまざまな人々であふれている街。

その街を舞台にした、温かなドラマが

「ニューヨーク 親切なロシア料理店」だ。

 

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 その日。

主婦のクララ(ゾーイ・カザン)は、

早朝から車を飛ばし、ニューヨークに到着した。

幼い長男と次男を連れて、DV夫から逃げてきたのだ。

 

 カーネギー・ホールにほど近い

創業100年を誇るロシア料理店ウィンター・パレスでは、

救急病棟に勤める看護師アリス(アンドレア・ライズボロー)が

いつものように食事を終えた。

ハードな仕事をこなす彼女には、大切な時間だ。

 

 同じレストランで、刑務所から出所したばかりの

マーク(タハール・ラヒム)が、弁護士で友人の

ジョン・ピーター(ジェイ・バルチェル)と祝杯をあげている。

別室では、商売下手なオーナー(ビル・ナイ)と

相談役たちが店の立て直しを相談中。

かつてレストラン経営をしていたマークは、

首尾よくこの店のマネージャーを任された。

 

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 頼りにしていた義父からも助けてもらえず

途方に暮れるクララたち。

仕事とヴォランティアだけの人生を送るアリス。

アリスが気になるジョン・ピーター。

レストランの仕事に張り切るマーク。

それを見守るオーナー。

 

 ばらばらの彼らの人生が交錯し、

それぞれの人生が動き始める。

群像ドラマなのだけれど、流れの中心になるのは、

クララとマークの出逢いと恋。

 

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 登場人物おのおのの優しさが

人と人との関係を紡いでいき、

最後は温かなハッピーエンドになる。

優しさが、人生の希望を引き寄せる、

そんな素敵な物語だ。

 

 メイン舞台になるロシア料理店は、

おそらく名門レストラン、ロシアン・ティールームがモデル。

ウディ・アレン監督作にも登場している有名店だ。

カーネギー・ホールや、42丁目にある

ニューヨーク公共図書館(「セックス・アンド・ザ・シティ」で

キャリーが結婚式を挙げようとした、あそこ)など

名所も登場し、ちょっとしたニューヨーク巡りの楽しみも。

 

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 もちろん、胸にしみる優しさ、温かさ、

そして、希望の光が、

この映画の最高のご馳走。

クリスマス・シーズンに、

いや、なんだか刺々しさを増すこの冬の

癒しにピッタリの作品だ。

 

ロネ・シェルフィグ監督・脚本。

 

配給:セテラ・インターナショナル

 

12月11日(金)から、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ

             YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開