これぞ、王道!

と、言いたいミュージカル「プロデューサーズ」。

華やかで楽しく笑えて、ほっこり温かくなる

素敵なミュージカル・コメディだ。

 

 2001年のブロードウェイ初演作。

2005年には、井ノ原快彦と長野博主演で日本初演。

これは3年後に再演もされた。

それから12年。

今度は、福田雄一演出による東宝版の上演だ。

 

中央二人、井上芳雄と吉沢亮 (写真提供:東宝演劇部)

 

 50年代末のニューヨーク・ブロードウェイ。

落ち目のプロデューサー、マックス(井上芳雄)は、

会計士レオ(吉沢亮、大野拓朗のWキャスト)の言葉に

ヒントを得て、史上最低のミュージカル作りにとりかかる。

 

 酷評され、初日でクローズに持ち込めば、

たっぷり集めた製作費が余るはず。

その資金を持ち逃げしよう、という寸法だ。

ブロードウェイのプロデューサーを夢見ていた

レオも巻き込み、てんやわんやの騒動が始まる。

 

 Wキャストのレオ、まずは吉沢版を観劇。

驚いた!ミュージカル初出演だというのに、

こんなに歌えて踊れるなんて。

おまけに、コメディ・センスも抜群。

アドリブの奇妙なダンスに、笑い転げた。

 

左から吉沢亮、井上芳雄 (写真提供:東宝演劇部)

 

 かなりヘタレで、意外にお調子者のレオ。

対するマックス役の井上芳雄は、すっきりオシャレっぽくて、

途中からレオに振り回されていく感じが可笑しい。

ブロードウェイ・オリジナルの

ネイサン・レイン×マシュー・ブロデリックは

疑似父子みたいな関係だったけれど、

ここでは、年の離れた疑似兄弟みたい。

 

 女優志望のウーラ役を、木下晴夏が

愛らしく演じている。上手な女優だなあ、と改めて。

ヒトラーを愛するリープキンを佐藤二朗が演じて

笑いを取る。これ、最低の脚本家の役だ。

ハデハデしい演出家ロジャーを吉野圭吾が怪演。

その助手にしてパートナーのカルメン役が木村達成。

登場時、オードリー・ヘップバーンのサブリナを

コピーしてて、すごく美しい。

 

 ミュージカル愛はもちろん、

あらゆる愛が溢れかえる、愉しい作品だから、

近ごろ沈みがちな気分も、一気に上げてくれる。

見終わるとまた見たくなってしまう。

というわけで、次は大野拓朗レオ版も。

 

12月6日まで、東急シアターオーブ。