2年前、タイのチェンライの洞窟で起こった事故は、

まだ覚えている人が多いと思う。

豪雨で浸水した洞窟の奥に閉じ込められた

サッカー少年12人とコーチが、

全員救出されるまでの18日間の話だ。

 

 感動の実話が、早くも映画化された。

正式タイトルは、

「THE CAVE(ザ・ケイヴ)サッカー少年救出までの18日間」。

 

© Copyright 2019 E Stars Films / De Warrenne Pictures Co.Ltd. All Rights Reserved.

 

  少年たちが閉じ込められた場所は、

洞窟の入り口から4キロも奥だ。

彼らが発見されたのは、事件が起こってから9日後。

一刻の猶予もならないが、洞窟のあちこちは水没していて、

途中には人一人がやっと通れるかといった

狭い箇所もある。

次の雨が降るまでに救出しないと絶望的だ。

 

 緊迫した時間のなかで、世界中から

ケイヴ・ダイバー(洞窟潜水夫)がやって来る。

みんな、思いは同じだ。

なんとか少年たちの命を救いたい。その一心。

潜水夫たちの決死の行動が続く。

 

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 人の優しさ、思いやり、愛を感じる温かい映画だ。

もちろん、救出シーンのハラハラもあるけれど。

 

 面白かった(というと語弊があるけど)のは、

救出作業初期に頑張った、排水ポンプ業者のエピソード。

洞窟内の水を排出に適した強力なポンプが

在庫切れで、すでに売って備え付けられたものを、

持ち主に頼んでかき集めて来るのだ。

 

 さらに胸を打たれたのは、洞窟近くの農家の話。

洞窟からの排水で、水没してしまった稲田を見ながら

「また植えなくちゃね」と、怒りでも諦念でもなく、

ごく穏やかに語る農婦が、なんだか神々しい。

命を思いやる優しさから生まれる寛容さ。

いま、いちばん世界中に欲しいものだと、ふと思う。

 

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 救出劇のスリルより、

それを支える人々の優しさが印象的。

ラストは、心から喜べる。そんな作品だ。

 

配給:コムストック・グループ+WOWOW

 

11月13日(金)から新宿ピカデリー

、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国ロードショー