ミュージカル「RENT」が開幕した。

って、もう1週間前だけど。

3年ぶりの再演で、東宝上演版としては6演目。

根強い人気を持つ名作ミュージカルだ。

 

 プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」をベースにした

物語の背景は、1989年のニューヨーク・イーストヴィレッジ。

古ぼけたビルの一室に住むマークとロジャーは

家賃(レント)も払えず、退去を迫られている。

クリスマス・イヴなのに、電気も暖房もない。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 マークは映像作家志望で、ロジャーはミュージシャン。

同じビルに住むダンサーのミミがろうそくの灯を

借りに来たことから、ロジャーと彼女の恋が始まる。

 

 マークらの友人で大学講師のコリンズ。

彼と恋仲になるドラァグクイーンの

ストリート・ミュージシャン、エンジェル。

マークの元恋人でパフォーミング・アーティストの

モーリーン。その現・恋人で弁護士のジョアンヌ。

愛と人生を模索する彼らの1年が、

ロジャーとミミの恋を中心に綴られていく。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 ジョナサン・ラーソンの楽曲には、

いつも変わらず胸を揺すぶられる。

「1年をなにで測ろればいい?・・・愛で測ろう」という歌詞の

「シーズンズ・オブ・ラヴ」が歌われる二幕冒頭には、

毎度ウルっときてしまう。

 

 いや、もう冒頭の「レント」から「ワン・ソング・グローリー」、

・・・などなど曲名を書き連ねると全部になっちゃいそうなのだが。

もちろん、「No Day,But Today」(今日を生きよう)という

歌詞が入っている「アナザー・デイ」も。

強いメッセージを持つテーマ曲級の楽曲だし。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 現在日本上演されているヴァージョンは、

ブロードウェイ・オリジナル演出家の

マイケル・グライフによるアップデート版。

だから、エイズにかかった人々が集会で歌う

「ライフ・サポート」のシーンはすごく短くなっていたりする。

 

 これ、96年のブロードウェイ初演から

ずっと見てきているのだけれど、

最初の頃に覚えたヒリヒリ感は、少し薄れているとは思う。

それは、登場人物の半分がかかっているエイズへの

認識が、当時とは変わってしまったから。

かつては死亡率が高い病気だったのだ。

 

写真提供:東宝演劇部

 

 とはいえ、美しい楽曲に込められた

愛と人生へのメッセージは色褪せないままだ。

いま、コロナ禍のなかでは、そのテーマが

いっそう強く心に響いてくる。

名作は、どの時代にも伴走するものだけど、

とりわけ今年はいろいろと思いを馳せてしまう。

 

 キャストは今回ほぼ一新。

見たのは、花村想太のマーク、堂珍嘉邦のロジャー、

光永泰一朗のコリンズ、上口耕平のエンジェル、

八木アリサのミミ、フランク莉奈のモーリーンなど。

花村想太のマークが初々しくて、なんか新鮮だった。

 

12月6日まで、東京・シアタークリエ