近頃の多部未華子、なにを見ても魅力的。

この映画「空に住む」でも、真摯で

ナチュラルな演技で光っている。

かわいい!のは、言うまでもなく。

 

©2020 HIGH BROW CINEMA

 

 主人公は、28歳の小早川直実(多部未華子)。

両親と突然死別し、叔父夫婦が所有する

都心の高層マンションで暮らすことになる。

同居人は、人見知りな愛猫ハルだけ。

 

 東京郊外の小さな出版社に勤める直実の

同僚、愛子(岸井ゆきの)は、先輩社員との

デキ婚を控え、すでに大きなお腹をしている。

ところが、愛子から、お腹の子は実は不倫の子、

それも直実が以前担当していた作家の子だと

打ち明けられる。

 

©2020 HIGH BROW CINEMA

 

 仕事にも行き詰まり、私生活もパッとしない。

オシャレなタワー・マンションの部屋にも、

なんとなくなじめず、落ち着かない。

同じマンションに住む叔母(美村里江)が、

あれこれ世話を焼きに来るのも、少しうっとうしい。

 

©2020 HIGH BROW CINEMA

 

 そんなある日、マンションのエレベーターで

人気スターの時戸(岩田剛典)と知り合うのだが…。

 

 自分の居場所が見つからないような、

どこか漂っているような直実。

対照的に、驚くような選択をしながらも

地に足を着けて前進していく愛子に寄り添い、

時戸との奇妙な関係を経て、

歩き始めるまでの物語だ。

 

©2020 HIGH BROW CINEMA

 

 実は、愛猫ハルの存在も大きく関わってくるけれど、

これは言わぬが花かも。

 

 清々しい成長物語にも見えるけれど、

一方で、都会に住む人々の寄る辺なさが

通奏音として静かに、でも確かに響くのが

青山真治監督作品らしい、というか。

 

配給:アスミック・エース

 

10月23日(金)から全国ロードショー